社会保険労務士法人長谷川社労士事務所

開業とは「ブランドづくり」である

13.12.08
業種別【医業】
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クリニックを開業する時、
その地域に医師の知名度があるかどうかは
重要なポイントです。

もともと地元の病院に勤務しており、
「実は、僕は年内いっぱいでこの病院を辞めて、
近くに開業することになりました」
「え、○○先生開業するんですか?
じゃ、私も診療所に通わせてもらおうかな。
その方が待ち時間も少なそうだし」と、
患者さんが移ってくる形で開業できるのであれば、
まずまずハッピーでしょう。
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選ばれるクリニックへのナビゲーション

開業当初から、
地域の患者さんに医師の名前と顔が知られ、
うまくすれば人柄も知られており、
人間関係ができている。
言ってみれば勤務医時代の努力が反映するわけですが。

この「勤務先エリアで開業」パターンは、
以前であれば患者の転院で病院との間に、
あつれきが生じることもあったでしょうが、
現在は病院はどこも混雑を極めており、
特に医師不足に悩む地方では医療崩壊寸前。

慢性期疾患の患者さんには
診療所で治療を受けてもらって、
病院は救急や高度医療に専念するのが建前ですので、
表立って文句をいわれることは
少なくなっているのではないでしょうか
(ただし人間関係や感情的なもつれのある場合は
その限りにあらず、ですが)。

病院としては、今後の患者の紹介先としても
連携関係のある診療所を増やしておきたいところですから、
目先の患者の転院には目をつぶってでも、
良好な関係を築いておきたいところです。

さて、親や前任の医師から診療所を継承する、
いわば票田を受け継ぐ形での開業ではどうでしょう。
この場合、もちろん何も後ろ盾がないよりは有利ですが、
それでも安穏としてはいられません。

「クリニック」は知られていても、
「医師」の名・顔・そして人柄は知られていないからです。
その上、前任者と比べられてしまうこともあるので、
必ずしも有利とも言い切れないのではないでしょうか。

「名」「顔」そして「人柄」をアピールする…。
開業すると勤務医時代には決して
必要のなかったスキルが求められます。
マネジメント論の権威として、
世界的に知られた経営学者のピーター・F・ドラッカー博士は
「人は、何によって人に知られたいかを自問しなければならない」
(『プロフェッショナルの条件』ダイヤモンド社より)
という有名な言葉を残しています。

何によって地域に知られ、地域に貢献したいか―――。

自分の強みや個性を見極めて
「自分」というブランドを作り、
アピールしていくことが求められます。

次回の選ばれるクリニックへのナビゲーションは、
「医療の接遇は『話し方』なのか」であるをお届けします。


●プロフィール●
中保 裕子(なかほ・ゆうこ)
医療ライターとして全国のがん医療、地域医療の現場を中心に医療者、患者、家族へのインタビューを行うほか、新聞広告等での疾患啓発広告制作、製薬企業等のマーケティング調査の実績も多い。有限会社ウエル・ビー 代表取締役。 
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