社会保険労務士法人長谷川社労士事務所

令和4年1月1日から社会保険関係制度が改正されます

21.11.30
オリジナル【制度改正】
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「全世代型社会保障改革の方針について」(令和2年12月15日 閣議決定)等を踏まえた改正により、令和4年1月1日より社会保険に関係する制度が変更になります。
この改正は、現役世代への給付が少なく給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの社会保障構造を見直し、全ての世代で広く安心を支えていく全世代対応型の社会保障制度を構築するために執行されるものです。今回の改正のポイントをご案内します。

傷病手当金の支給期間の通算化

傷病手当金は、病気やけがで働くことができない健康保険被保険者とその家族に対する保障制度です。
現行では、傷病手当金の⽀給期間は、⽀給開始⽇から起算して1年6ヵ⽉を超えない期間とされています。(その間、⼀時的に就労した場合であっても、その就労した期間が1年6ヵ月の計算に含まれます。)
昨今、メンタルヘルスの不調のため復職と休職繰り返す、がん治療のために⼊退院を繰り返すなど⻑期間に渡って療養のため休暇を取りながら働くケースが増えています。今回の改正では、治療と仕事の両⽴の観点から、より柔軟な所得保障を行うことが可能となるよう、出勤に伴い不支給となった期間がある場合、その期間を延長して支給期間を通算化し、1年6ヵ月まで受給することができます。

任意継続被保険者制度の⾒直し

任意継続被保険者制度とは、健康保険(協会けんぽ、健保組合)に加入していた者が退職し、その被保険者資格を喪失した場合に、
①資格喪失日の前日までに継続して2ヵ月以上の被保険者期間があること
②資格喪失日から20日以内に申請すること
の条件を満たせば退職後最長2年引き続き従前の健康保険制度に加入できる制度です。解雇や退職に伴う無保険状態を回避できることや会社に勤務していたときと同じ健康保険給付を受けることができるメリットがある一方で、原則2年間は資格喪失ができない、原則2年間保険料が変わらないというデメリットがあります。今回の改正によって次のとおり任意継続被保険者制度が変更になります。

改正後は任意での脱退が可能に
◆ 資格喪失について ◆
現行は、以下のいずれかに該当したときのみ、任意継続の資格喪失が可能です。
・任意継続被保険者となった日から起算して2年を経過したとき
・死亡したとき
・保険料を納付期⽇までに納付しなかったとき
・被用者保険、船員保険⼜は後期⾼齢者医療の被保険者等となったとき

被保険者の生活実態に応じた加入期間の短縮化を支援する観点から今回の法改正により、「任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、保険者に申し出た場合において、その申出が受理され日の属する月の末日が到来したとき」という事由が追加されたことから従前の資格喪失理由に該当しなくても任意脱退することができるようになります。

健康保険組合(協会けんぽ以外)における保険料の算定基礎に例外を認める
◆ 保険料について ◆
現行は、任意継続被保険者の標準月額報酬の決定は次に掲げる額のうちいずれか少ない額とされています。
①従前の標準報酬月額
②前年(1月から3月までの標準報酬月額については、前々年)の9月30日における当該任意継続被保険者の属する保険者が管掌する全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額(健康保険組合が当該平均した額の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該規約で定めた額)を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額

改正後は
健康保険組合(協会けんぽ以外)について、次のとおり現行の扱いの例外が認められます。 上記第①号に掲げる額が第②号に掲げる額を超える任意継続被保険者について、規約で定めるところにより、第①号の額(当該健康保険組合が第②号の額を超え、第①号の額未満の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該規約で定めた額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額)をその者の標準報酬月額とすることができるようになります。

 

今回は、令和4年1月1日に施行される社会保険関係の制度をご案内しました、来年は4月、10月にも多くの改正がございますので詳細は、当事務所にお問い合わせいただくか厚生労働省のホームページにてご確認ください。

厚生労働省 全世代対応型の社会保障制度 
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000739687.pdf