社会保険労務士法人長谷川社労士事務所

新型コロナを原因とする休業の取り扱いついて

21.02.01
オリジナル【その他】
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新型コロナウイルスが日本で確認されてから1年を過ぎましたがその猛威はとどまるところを知らず当事務所にもコロナ関連の対応についてのお問い合わせをいただくことが続いています。そこで新型コロナウイルスに感染したり濃厚接触などにより自宅待機となったりした際の労災休業補償金と傷病手当金の休業補償についての認定条件と賃金の取り扱いについてご案内します。

どう違う?労災休業補償金と傷病手当金

◇労災休業補償金(労災保険)
 ・業務上の事由または、通勤による負傷や疾病による療養であること
 ・労働することができないこと
 ・賃金を受けていないこと

◇傷病手当金(健康保険制度)
 ・業務外の事由による病気やけがの療養のための休養であること
 ・仕事に就くことができないこと
 ・連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
 ・休業した期間についての給与の支払いがないこと

待機期間 
 ・労災休業補償金···1~3日までは事業主が休業補償、4日目から支給
 ・傷病手当金···連続して3日間の待機があり4日目から支給
受給金額
 
・労災休業補償金···休業1日につき給付基礎日額の80%
          (業務災害の場合、初日から3日目までは、事業主が休業補償)
 ・傷病手当金···支給開始日前の過去12ヵ月の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3
        (概ね給与の約66%)
受給期間
 ・労災休業補償金···休業補償の支給要件に該当しなくなるまで
 ・傷病手当金···支給開始から1年6ヵ月(途中仕事に復帰した期間も1年6ヵ月に参入)
 

新型コロナウイルスに感染!
労災休業補償金と傷病手当どっちを申請すればいい?

厚生労働省は、令和2年4月28日付で新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いに
ついて調査により感染経路が特定されなくとも業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因し
たものと認められる場合は労災保険給付の対象になると労災認定基準を緩和しています。
従業員がコロナに感染した場合の給与支払いに関しては、以下のような取扱いになりますので
参考にしてください。
①従業員が業務に起因してコロナ感染し療養のため休業した場合
 労災保険給付金により補償
②従業員が業務外でコロナ感染し療養のため休業した場合
 
傷病手当金により補償
③コロナに感染していないが会社の指導で休業した場合
 
休業手当により補償し、雇用調整助成金にて申請することも可能です。
④業務外で濃厚接触者として会社を休業した場合
 
PCR検査の結果が陰性で保健所から14日の自宅待機をするように求められ場合、会社は該当
 従業員に出社禁止の対応をすると考えます。この場合は、使用者の自主判断での休業であり、
 厚生労働省は「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を払う必要が
 あると示しています。同様に従業員が発熱や咳などを申告した場合、会社が大事を取って休ん
 でほしいと求めた場合も休業手当(平均賃金の60%)を支払わなければなりません。
 但し、従業員本人が風邪や発熱で自主的に休む場合は、通常の病気休暇扱いとなり会社に手当
 の支払い義務は生じません。

 業種や感染の起因により様々なケースが御座いますので判断できない場合は、一度ご相談くだ
 さい。