社会保険労務士法人長谷川社労士事務所

2歳未満の子育て世帯必見!令和7年4月~育児時短就業給付が始まります!!

25.04.07
オリジナル【制度改正】
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令和7年4月1日より育児休業等給付に「出生後休業支援給付」、「育児時短就業給付」が新しく導入されました。今回は、子育てのために時短勤務を選択して働く場合の収入減を補填することで、柔軟な働き方が選択しやすくなることを目的に共働き・共育ての推進や育児休業後におけるキャリア形成の両立を支援する育児時短就業給付についてご案内します。

育児時短就業給付とは?

2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して働く場合に育児時短就業前と比較して賃金が低下するなどの要件を満たすときに育児時短就業中の各月に支払われた賃金額の10%相当額を支給する制度です。

(※ただし、育児時短就業開始時の賃金水準を超えないように調整されます。また、各月に支払われた賃金額と支給額の合計が支給限度額を超える場合は、超えた部分が減額されます。)

 

支給対象となる要件

育児時短就業給付金を受け取るには、まず以下の2つの要件を満たす必要があります。

●2歳未満の子を養育するために育児時短就業をする雇用保険の被保険者であること
●育児休業給付の対象となる育児休業から引き続いて育児時短就業を開始したこと、または、育児時短就業開始日前2年間に被保険者期間が12ヵ月あること
(※育児休業から引き続きとは、育児休業終了の翌日(復職日)から育児時短就業を開始する場合に加え、育児休業を終了した日と育児時短就業を開始した日の間が14日以内の場合をいいます。)

加えて、以下の要件をすべてを満たす月が支給対象となります。

●初日から末日まで続けて、雇用保険の被保険者である月
●1週間あたりの所定労働時間を短縮して就業した期間がある月
●初日から末日まで続けて、育児休業給付または介護休業給付を受給していない月
●高年齢雇用継続給付の受給対象となっていない月
 

支給対象となる育児時短就業

支給対象となる育児時短就業とは、被保険者からの申し出に基づき会社が定める週の労働時間を短縮して働くことを指します。また、以下の適用を受けている人も要件を満たせば支給対象となります。

【特別な労働時間制度で働く場合の要件】

フレックスタイム制…清算期間における総労働時間を短縮して就業する場合
変形労働時間制…対象期間の総労働時間を短縮して就業する場合
裁量労働制…みなし労働時間を短縮して就業する場合
シフト制…実際の労働時間に基づいて、1週間の平均労働時間を算定し、短縮が確認できる場合
(※月の途中で離職し、被保険者資格 を喪失した場合、週所定労働時間20時間未満の労働条件で転職した場合は育児時短就業給付金の対象となりません。)

 

支給対象期間と支給終了事由

原則として育児時短就業を開始した日の属する月から育児時短就業を終了した日の属する月までの各暦月(「支給対象月」)について支給します。

尚、次の事由に該当する場合には、該当日の前日をもって育児時短就業給付金の支給が終了します。

① 育児時短就業に係る子が2歳になったとき

② 産前産後休業、育児休業または介護休業を開始したとき

③ 育児時短就業に係る子とは別の子を養育するために、育児時短就業を開始したとき

④ 子の死亡その他の事由により、子を養育しないこととなったとき

支給額と計算方法

育児時短就業給付金は、時短就業中の賃金の10%程度が支給されます。計算方法は次のとおりです。

①育児時短就業開始時賃金月額を算出します。

育児時短就業開始時賃金月額=育児時短就業開始前賃金×開始前6ヵ月に支払われた賃金の総額÷180×30

②「育児時短就業開始時賃金月額」と比較して賃金が下がった割合によって次の計算方法で算出します。

●支給対象月に支払われた賃金額が育児時短就業開始時賃金月額の90%以下の場合

 育児時短就業給付金の支給額 = 支給対象月に支払われた賃金額 × 10% 

●支給対象月に支払われた賃金額が育児時短就業開始時賃金月額の90%超~100% 未満の場合 

 育児時短就業給付金の支給額 = 支給対象月に支払われた賃金額 × 調整後の支給率

 (※調整後の支給率={9,000 × 時短前の賃金額 ÷ (時短中の賃金額 × 100)- 90}÷ 100 )

●支給対象月に支払われた賃金額と上記の算出による支給額の合計額が支給限度額(459,000円…令和7年7月31日までの額)を超える場合

 育児時短就業給付金の支給額 = 支給限度額- 支給対象月に支払われた賃金

 【育児時短就業給付金が支給されないケース】

支給対象月に支払われた賃金額が育児時短就業開始時賃金月額の100%以上の場合

支給対象月に支払われた賃金額が支給限度額以上の場合…支給対象月に支払われた賃金額が459,000 円(令和7年7月31日までの額)以上

③支給額が最低限度額以下のとき…算定された支給額 が2,295円(令和7年7月31日までの額)以下

※その他、育児時短就業開始時の上限額・下限額(令和7年7月31日まで)が次のとおり設定されています。

育児時短就業開始時賃金日額 上限額:  15,690円 下限額:  2,869円

育児時短就業開始時賃金月額 上限額:470,700円 下限額:86,070円

その他

育児時短就業給付金の申請手続きは、原則として事業主経由でおこなわれます。育児時短就業給付金は、令和7年4月1日以後に育児時短就業を開始した方が対象ですが経過措置として、令和7年4月1日以前に育児時短就業に相当する就業を行っている方は、令和7年4月1日を育児時短就業開始日とみなし、受給資格・各月の支給要件を満たす場合は令和7年4月以降の各月が支給対象となります。
該当する従業員がいる場合は、注意が必要になりますので支給対象となるかをご確認ください。また、不明な点などは厚生労働省のホームページをご覧いただくか弊所にお問合せください。

厚生労働省 育児時短就業給付金リーフレット
 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001394846.pdf
厚生労働省 育児時短就業給付の内容と支給申請手続パンフレット
 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001395073.pdf