社会保険労務士法人長谷川社労士事務所

このラインを越えたら患者ではない

15.09.04
業種別【医業】
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クリニックの新規開業時には、集患の計画や地域との連携だけを考えていればいいわけではありません。

集患がうまくいけばいったで、ときには歓迎せざる患者も訪れます。そう、モンスターペイシェント対策にも手を打っておかなければなりません。
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最近、ある外資系スーパーマーケットの店長のクレーマー対応がネットで紹介されていました。

そのクレーマーはガラが悪く、なんだかんだいちゃもんをつけて、あわよくばタダにさせてしまおうという魂胆が見え見え。クレームは販売方法や商品などへの正当な苦情を超えて、「あれもダメ、これもなってない」とスタッフへの個人攻撃になっていました。その時点で奥から出てきた欧州系支配人が、顔を怒りで紅潮させて一言。 

「出て行け!お前は客じゃない!」 

そして、こう言い放ちました。 

「スタッフはお前の奴隷じゃない。謝れ!」 

騒げば自分の主張が通ると考えていたであろうクレーマーはびっくりして、結局謝罪させられたというのです。 

支配人いわく、「このラインを越えたら客ではない、という一線がある。ラインまではスタッフに精一杯努力をさせるが、ラインを越えても対応させたら、いじめられて心に深い傷を負い、仕事への恐怖感が生じてしまう。客がラインを越えた瞬間から、スタッフを守るのが私たち(管理職)の義務だ」。 

クリニックにおいても、スタッフがモンスターペイシェントにひとりで対応し、精神疾患に追い込まれるケースがあるようです。その背景には、行き過ぎた「患者さま第一主義」があるのかもしれません。

もちろん、非があれば院長以下全員で誠実に対応し、再発防止に努めるのは前提です。しかし、他の患者やスタッフに危害を及ぼしかねない場合は、もはや「患者」の域を越えていると判断しなければならないケースもあるのではないでしょうか。万一の場合に相談に乗ってもらえる警察とのコンタクトなど、日ごろから対策を講じておくことをお勧めします。 


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[プロフィール] 
中保 裕子(なかほ・ゆうこ) 
医療ライターとして全国のがん医療、地域医療の現場を中心に医療者、患者、家族へのインタビューを行うほか、新聞広告等での疾患啓発広告制作、製薬企業等のマーケティング調査の実績も多い。有限会社ウエル・ビー 代表取締役。  
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