社会保険労務士法人長谷川社労士事務所

飲酒運転やあおり運転も! 交通事故発生時に問われる同乗者の責任

22.03.29
ビジネス【法律豆知識】
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交通事故が発生したときに、加害者側のドライバーだけでなく、同乗者も責任を問われることがあります。
たとえば、ドライバーが酒気を帯びていることを知りながら、そのドライバーの運転する車に乗って事故が起きたら、ドライバーはもちろん同乗者も罪に問われる可能性があります。
また、ドライバーをあおって危険運転をさせたり、無免許運転をさせたりすることも禁止されています。
今回は、交通事故発生時や危険運転時に同乗者の責任が問われるケースを説明します。
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同乗者も連帯責任となるケース

車の助手席や後部座席に座る同乗者は、免許を持っていなくてもドライバーの運転する車に同乗できます。
ただし、車の運行に関してまったく責任がないわけではありません。
最悪のケースでは、免許を持っていなくても罪に問われることがあります。

たとえば、人身事故が起きた場合、通常はドライバーの注意義務違反となり、刑事罰としてドライバーに自動車運転過失致死傷罪や危険運転致死傷罪が適用されます。
また、民事責任としての損害賠償責任も負うことになります。

一方、同乗者は車に乗っていただけなので、刑事罰を科せられたり、損害賠償責任を負ったりすることはありません。
しかし、事故の原因が同乗者にもある場合には、その限りではありません。
道路交通法でも、同乗者は交通事故を起こす可能性のある危険な運転を見過ごしてはいけないことになっており、もし見過ごした場合はドライバーとの連帯責任になることがあります

その、“見過ごし”の最たるものが、酒気帯び運転です。

道路交通法第65条第4項では『何人も、車両の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない』と定めています。
つまり、同乗者はドライバーがお酒を飲んでいることを知りながら、そのドライバーの運転する車には乗ってはならないということです。


同乗者に科せられる刑事罰と損害賠償責任

飲酒運転は呼気中のアルコール濃度によって、『酒気帯び運転』と『酒酔い運転』に区分されます。
ドライバーが酒気帯び運転をした場合には3年以下の懲役または50万円以下の罰金となり、酒酔い運転だと5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。

ドライバーがお酒を飲んだことを知っていながら車に同乗した場合、ドライバーに科される罰則よりは軽いものの、同乗者にも刑罰が科されることになります。
ドライバーが酒気帯び運転をしていた場合、そのことを知りながら車に乗っていた同乗者は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金を科され、ドライバーが酒酔い運転をしていた場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます

さらに、交通事故を起こした場合には、損害賠償責任もドライバーと同様に負うことになります。
ドライバーは保険に入っているので、保険金によって損害賠償金を賄うことができますが、同乗者には保険が適用されないため、損害賠償金が自己負担になる可能性もあります。
また、免許を所持していれば、同乗者であっても免許停止や免許取消などの行政処分が下されることもあります。

ドライバーが酒気を帯びていたことを知らなければ、罪に問われることはありません。
それでもドライバーから酒の匂いがしたり、運転に不安を覚えたりした場合は、すぐに車を停止させる必要があります。

また、交通事故が起きたときには、同乗者も任意で警察からの取り調べを受けることになります。
そこで「酒を飲んでいたことを知らなかった」などと嘘をついても、必ず見破られてしまうものです。
警察の取り調べに対して話す場合には、ありのままを供述しましょう。

そして、酒気帯び運転だけではなく、無免許運転に関しても、ドライバーに免許がないことを知りながら同乗していた場合には、同乗者でも2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

ほかにも、ドライバーに話しかけて運転の邪魔をしたり、あおって危険運転をさせたりするなど、同乗者の直接的な行動が事故の原因である場合にも、ドライバーと一緒に同乗者も罰せられます。

交通事故を起こさせないためにも、同乗者はドライバーと同じ緊張感を持って車に乗りましょう。


※本記事の記載内容は、2022年3月現在の法令・情報等に基づいています。