社会保険労務士法人長谷川社労士事務所

歯科医院にとって大切な収益源である『物販』を強化するには

21.02.02
業種別【歯科医業】
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これまで、歯科医院の物販といえば、ごく一部の人が歯間ブラシや歯みがきペーストなどのデンタルケア用品を購入していくだけでした。
しかし、近年、デンタルケアの意識の高まりにより、物販で売上を伸ばす歯科医院も増えてきています。
歯科医院の物販はスペースなどの都合もあり、待合室に陳列されることがほとんどですが、限られたスペースのなかでも手に取ってもらう工夫をするかしないかで、売上には大きな差が出ます。
そこで今回は、物販で収益を得ながら患者の満足度も高めるための工夫について紹介します。
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経営の観点から物販を見直そう
 
ほとんどの歯科医院がデンタルグッズや口腔ケア商品を取り扱っていますが、患者が購入したくなるような陳列の工夫をしている歯科医院は多くありません。
一般的な売れ筋の歯ブラシや、歯間ブラシ、フロス、歯みがきペーストなどをただ置いているだけだったり、受付にしまっておいて、患者にいわれてはじめて商品を出すだけだったりする歯科医院も存在します。

歯科医院の仕事は患者の歯の治療やケアなのはもちろんですが、歯科医院を経営するという観点からは、物販の売上も見逃せないところではあります。

厚生労働省の『令和元(2019)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況』によると、全国の歯科診療所数は、2019年時点で約6万8,500施設と、2005年の6万6,700施設からあまり変わっていない状態です。
一方で、デンタルケアへの意識の高まりや、予防歯科の推奨などから、歯科医院を訪れる患者の数は1999年頃から増え続けています。
1999年は約115万人だったのに対し、2014年には約136万人に増加しています。

しかし、歯科診療所数は横ばいで、来院患者数は増加の傾向にあるとはいえ、現時点ではコロナ禍による売上減に悩む歯科医院が多いのも事実です。
経営のためにも、より多くの来院患者に向けて物販をアピールしたいところです。


物販の売上を伸ばすためのコツ

物販で売上を伸ばすといっても、しっかりと販促のポイントを押さえておかなければ、患者には気づいてもらえません。

まず、大事なのは『陳列』です。
通常の小売店と同じように、物販の陳列は“見やすさ”と“手にとりやすさ”が基本になります。

見やすさとは、患者が手を伸ばしやすい高さや場所、配置のことです。
原則的に、安価で購入頻度の高い商品は最も目に入りやすいところに、高額な商品は少し高いところに置き、メリハリを出すことで、見やすさを演出します
たとえば、頻繁に購入することになる歯磨き粉などの消耗品は受付カウンターの横に置くなど、工夫をしてみるとよいでしょう。

人は商品を実際に手にとると、自分の使用している姿を想像するものです。
そこで、手にとりやすさを意識して陳列すれば購入率アップに効果的です。
歯科医院は通常の小売店のように、呼び込みや積極的な営業活動ができないため、来院者に興味を持ってもらうことを意識して購入のきっかけづくりをしてみましょう。
そこで、電動歯ブラシや口腔洗浄器など、少し値の張るものをサンプルとして展示し、手にとってもらって使いやすさを試してもらうと、購入につながりやすくなります。

さらに、取り扱う商品を来院する患者の傾向によって変えていくなど、細かいところにも気を配るとよいでしょう。
たとえば、子どもの患者が多い歯科医院であれば、小児用の歯ブラシや仕上げ用の口腔スプレーなどを充実させたほうが効果的ですし、歯周病の患者が多い歯科医院であれば、歯周病をケアするための商品を揃えることで、購買を促しやすくなります。

ほかにも売れ筋ランキングを発表してディスプレイしてみたり、歯科医目線でのおすすめ商品をポップでお知らせするなども、患者に興味を持ってもらう方法として有効です。

治療中にさりげなく治療内容に沿った商品をすすめる方法もありますが、あからさますぎると患者に不快感を与えてしまう可能性もあるので注意しましょう。

歯科医院で行う物販は、歯科医院経営を担う大事な一要素でもあります。
売上を伸ばすために、これまでと違った工夫を加えてみるのはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2021年2月現在の法令・情報等に基づいています。