社会保険労務士法人長谷川社労士事務所

外国人を雇用した時に使える助成金と、おさえるべきポイント

20.11.02
業種別【建設業】
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慢性的に人手不足に陥っている建設業界。
特に若い人の採用が困難になってきている昨今では、外国人労働者を積極的に活用する取り組みが進められています。
一方で、「受け入れ体制を整えるのにコストがかかる」などといった理由から、受け入れに二の足を踏んでいる企業もあるでしょう。
そこで、外国人労働者の雇用を促進したい場合は、助成金を活用してコスト面のサポートを受けるのも一つの方法です。
今回は、外国人労働者を雇用した際に活用できる助成金と注意点についてご紹介します。
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外国人を雇用するときは在留資格の確認を

外国人が就労するには、永住者や日本人の配偶者など、就労が制限されない在留資格を持っているか、就労ビザを取得していることが大前提です。
ただし、就労ビザは専門的で高度な知識や技術を必要とする分野が対象です。
専門知識の必要なエンジニア系では可能性がありますが、現場作業員の仕事はできません。

現場作業員の仕事が可能なのは、おもに『特定技能』と『技能実習』、就労年数に制限のある『特定活動』の外国人です。
留学生などでアルバイト程度の仕事なら可能な『資格外活動許可』もあります。


外国人を雇用したら、ぜひ活用したい助成金

助成金は主に、国から雇用や人材育成に関する資金のサポートを受けられる制度です。
大きな特徴は『返済不要』であるということ。
また、支給要件に当てはまれば、ほぼ交付されるので、知っておいて損はありません。
ただし、基本的に後払いなので、必要経費は一旦、事業主が捻出することになります。

ここでは、建設関係企業が外国人労働者を雇用したときに活用できる助成金について、代表的なものをいくつかご紹介します。

【人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成金コース)】

外国人は話す言葉だけではなく文化やふるまいも違います。
このような違いに起因して、外国人労働者は労働条件や解雇に関するトラブルが生じやすい傾向にあります。
そこで、外国人労働者が安定して働けるよう、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行い、職場定着に取り組んだ事業主に対して、経費の一部を助成するのが『人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成金コース)』です。

支給対象になるには
●雇用労務責任者の選任
●就業規則などの社内規程の多言語化
を行ったうえで、
●苦情や相談体制の整備
●一時帰国のための休暇制度
●社内マニュアルや標識類の多言語化
のいずれかを新たに導入し、外国人労働者全員に対して実施するなどの要件があります。

このほか、就労環境整備計画の作成や、離職率に関する目標達成なども支給要件となっているので、しっかりおさえておきましょう。

出典:人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成金コース)/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000199292_00008.html

【トライアル雇用助成金】

トライアル雇用助成金は、安定的な就労が一般よりも難しい人の雇用促進を目的に作られました。
もちろん外国人労働者も要件を満たせばそのなかに含まれます。

具体的には、求職者をハローワークなどの紹介により原則3カ月試行雇用して能力や適性を見極め、常用雇用に移行すると、対象者1人当たりにつき月額最大で4万円が最長3カ月間支給される制度です。
企業側には、外国人が自社に合っているか、仕事に適応できるかなどを見極めてから雇用することができ、さらに人件費の負担が軽くなるというメリットがあります。

出典:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/trial_koyou.html

【雇用調整助成金】

雇用調整助成金とは、景気の変動や産業構造の変化などが理由で、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員の雇用維持を図るために、一時的に休業や教育訓練、または出向などを実施した場合に、休業手当や賃金などの一部を助成する制度です。

直近3カ月の生産量・売上高などの生産指標が、前年同期比10%以上減少していることなどの支給要件を満たせば、休業手当や教育訓練をした場合の賃金相当額、出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対し、大企業で1/2、中小企業で2/3の助成率を乗じた額が支給されます。
ただし、1日1人当たり8,330円が上限となります。

出典:雇用調整助成金/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_20200515.html

この雇用調整助成金は、やむを得ない事由により実習活動が継続できない状況が生じ、事業主が外国人技能実習生を休業させた場合に活用できます。
ただし、外国人技能実習生は、技能の習得を目的に来日しているため、実習計画に基づき、実習を継続する必要があります。
雇用調整助成金を受給して実習生を休業させる場合、不正受給にあたる場合があるので、必ず事前に監理団体に相談してください。

今回は、外国人労働者を雇用したときに使える助成金を3つご紹介しました。

この記事をきっかけに、自社に当てはまるものを調べ、活用を考えてみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2020年11月現在の法令・情報等に基づいています。