社会保険労務士法人長谷川社労士事務所

逮捕されたらどうなる? その後の流れや注意すべき点を解説

20.09.29
ビジネス【法律豆知識】
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事件が起きると、ニュースやワイドショーなどで被疑者が逮捕される場面がよく取り上げられています。
ところが、逮捕された被疑者が起訴されるまでの間については、何をしているのかあまり知られていません。
メディアの扱いも、そこまで深追いしない印象です。
今回は、そんな『逮捕者のその後』について、実際に逮捕されてしまった場合に注意すべき点なども交えて解説します。
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逮捕後の拘束時間は72時間、延長もあり

あまり知られていませんが、逮捕には3つの種類があります。
令状のもとで行う『通常逮捕』、犯行現場で拘束される『現行犯逮捕』、そして令状の発行前に身柄を確保する『緊急逮捕』です。
一般的な逮捕の方法、すなわち警察官が出動して被疑者を逮捕したときには、いずれの逮捕でも、被疑者の身体の自由を奪えるのは72時間です。
このうち、警察の持ち時間が48時間、検察が24時間となります。
 
もちろん、どんな捜査機関でも、たった72時間で全ての捜査を完了することはできません。
そこで、被疑者に逃亡の恐れや証拠隠しの恐れがある場合は、被疑者を野放しにすることで捜査が進まなくなることを阻止すべく、検察が追加の身体拘束を求めて勾留請求をします
これにより、被疑者の身体拘束期間を追加で10日間延長できるのです。
その後さらに延長すると、最大20日間まで被疑者を身体拘束できます。
その間に犯罪の証拠を集めて、起訴するかどうかを決めていきます。


逮捕中も弁護士とは自由に会える

身体拘束中は、警察署の留置所にいることになります。
逮捕されることに慣れている人はいないので、不安になり、自分の親や友人と面会したいと考えるかもしれません。
このような弁護士以外の人との面会を『一般接見』といいます。
これらは自由に行うことはできず、逮捕段階では一切できません。
さらに、72時間が経過して勾留段階になると、一般接見は原則的に可能になります。
しかし、裁判所から接見を禁止するとの処分が下ることもあり、その場合はできません。
特に、共犯が疑われる事件においては、犯人同士の相談や示し合わせを防ぐために、接見禁止となるケースがしばしば見受けられます。
 
他方で、弁護士との面会である『弁護士接見』は、これとは大きく異なります。
一般接見が平日9時から17時まで、1回当たり15分から20分程度に制限されているのに対し、弁護士接見は、夜中でも、土日祝日でも可能です。
1回当たりの時間も限定されていません。

また、一般接見の際は、警察官が立ち会うことになりますが、弁護士接見では立ち会いはありません
逮捕段階でも接見することができるため、どうしても被疑者に伝えたいことがある場合、弁護士にお願いして伝えてもらうことになります。
 
面会時には差し入れをすることも可能です。
しかし、保安上の理由から、食べ物や紐状の物については、差し入れできません。
差し入れの際は事前に警察署に電話をして、差し入れ可能かどうかの確認をとる必要があります。


被疑者が身体拘束を解いてもらえる手段は?

次に、迷惑行為などで実際に逮捕されてしまったケースについて説明します。
まず身体的な拘束が長時間にわたって行われると、被疑者はだんだん疲れてきます。
軽犯罪であったとしても、72時間を超えて拘束されると、会社や学校にも言い訳がきかなくなってくるので、本当の理由を言わざるをえなくなるかもしれません。
では、被疑者は、一時的であっても拘束を解いてもらうことはできるのでしょうか。
 
被疑者の身体的な拘束を解くには以下の2つの方法があります。
 
●勾留から解放してもらうよう容疑者側が裁判所に働きかける
●拘束されたことに対して、裁判所に準抗告という不服申し立てをする

いずれも、捜査が続いている状態なので『在宅事件』ということにはなりますが、社会に戻ってきた被疑者は、基本的に何の制限も受けずに社会活動をすることができます。

解放の申し立てには『被疑者が身体拘束を解いたとしても、逃亡する恐れがなく、かつ、証拠隠滅に走る恐れもない』ということの裏付けが必要です。
たとえば、同居の家族などが、「今後被疑者が捜査機関から取り調べのための呼出を受けたら必ず出頭させ、被害者に接触させないように被疑者の行動を監督する」などと身柄引受書に書けば、早期に身柄を解放してもらえる可能性があります。

ほかにも、犯行に関する重要な証拠があるのであれば、これを捜査機関に提出し、これ以上隠滅するような証拠が存在しないということをアピールすることもあります。
あわせて、職場での立場があるなどの理由で逃亡の可能性もないといった事情を意見書にしたためれば、解放してもらえる可能性があります。
 
また、準抗告で、勾留決定をした裁判官以外の裁判官に対して、「判断が正しいかどうかもう一度判断してほしい」と不服申し立てをする方法もあります。
申し立てが正しいということになれば、勾留決定は破棄され、被疑者はすぐに釈放されることになります。
 
以上のとおり、被疑者が逮捕されてから起訴するかどうかが決定するまでには、さまざまな申し立てや手続きがあります。
また、被疑者の身分であっても、解放されて社会生活を送ることも可能なので、こうしたことをあらかじめ知っておいても損はありません。
もちろん、逮捕されれば多方面に迷惑がかかります。
逮捕されるような行動をすべきでないのは、言うまでもないことです。


※本記事の記載内容は、2020年9月現在の法令・情報等に基づいています。