社会保険労務士法人長谷川社労士事務所

医療翻訳・通訳ツールを使い、外国人患者の対応を円滑にしよう

20.06.30
業種別【医業】
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年々、日本在住の外国人も増えていき、医療業界でも外国人対応が求められるようになりました。
言葉の問題による誤診のリスクを減らすためには、医療翻訳・通訳は医療の現場にとって大きなサポートになります。
さらに問診票や説明書などの翻訳をしてくれるツールを導入すれば、症状を的確に把握することができるでしょう。
今回は、外国人対応に役立つ有効なツールを具体的に紹介します。
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問診票や処方箋にも対応の翻訳ツールとは?

ただでさえ忙しい医療現場で、外国人の言語対応は、医師だけでなく医療事務にとっても容易なことではありません。
独自で問診票を用意する医療機関もありますが、そこにかける時間や労力は並大抵なことではないでしょう。
そこで活用したいのが翻訳ツールです。
 
もっともスタンダードなのは、厚生労働省の『外国人向け多言語説明資料一覧』(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000056789.html)。
すでに、これらの資料を利用したり、こちらをもとにオリジナル資料を作成したりしている医療機関は多いのではないでしょうか。
問診票の種類は多岐にわたり、内科、呼吸器科、循環器科、整形外科、脳神経外科、精神科、眼科、耳鼻咽喉科、産婦人科、歯科など全16の専門科のバージョンがそろっています。
このほか、検査の同意書や問診票、手術の説明書など診療現場で使用される書類から、診察や入院の申込書、院外処方せんの説明、感染症予防についての案内といった事務的なものまで、用途にあわせて幅広いリストのなかから選ぶことができます。
ただし、対応言語は英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語の4カ国語です。

そして、NPO法人国際交流ハーティ港南台と(公財)かながわ国際交流財団が共同で作成した、『多言語医療問診票』(http://www.kifjp.org/medical/index.html)は、全18言語を展開している大変心強いツールです。
問診票に書かれているヒアリング項目が明確であり、医師としては患者とコミュニケーションがとれれば、診察がかなりスムーズになります。

こちらの問診票は外国人支援の実地体験をもとに作成されているので、診療現場で会話ができないときにはイラストを指さして使うこともできる、とても機能的なデザイン構成になっています。
一般外来の診察室では、こうしたツールをうまく使いこなすと、諸外国の言語対応に構えずに済むかもしれません。

一方、こうした書式のツールを使いにくい診察の場もあります。
医師が出向いていく往診や救急対応の場合です。
患者自身が応対できる状態になく、書式に目を通す余裕などないかもしれません。
そういう患者の状態では、通訳ツールが便利といえます。


24時間対応の医療通訳ツールとは?

こちらは民間サービスのため有料契約となりますが、通訳ツールとして代表的なのは、『メディフォン』(https://www.mediphone.jp/medicalinterpretation/)です。
事前申込をしておけば、17言語対応で24時間365日の電話通訳が可能です。
医療通訳者が間に入ってくれるので、患者との意思疎通や診察内容の伝達の精度はぐっと上がります。
また、英語と中国語の2言語限定ですが、端末を通したビデオ医療通訳も行っています。
とくに外科的処置が必要な診療現場などでは、通訳者が視覚的に状況把握することで、診察の確実性も増すと思われます。

ほかにも医療通訳ツールを提供している企業は、何社かあります。
メディフォンよりコストのかからない医療翻訳ツールとしては、Apple Storeでダウンロードできる『医療相談トランスレーター 音声サポート付き』(https://apps.apple.com/jp/app/医療相談トランスレーター-音声サポート付き/id389202856)も、スマートフォンなどで簡単に使える無料アプリとして人気があります。

翻訳・通訳はすべてオートマティックなので、会話に齟齬が生じる可能性はありますが、それでも実用性は高く、落ち着いて問診票に書き込みができない状況などに備えて、用意しておくと安心です。
ただし、このアプリのターゲットは欧米中心のため、対応言語はヨーロッパ言語が多く、アジア圏は日本語と中国語のみとなります。

昨今は多くのIT会社が、電子カルテの開発と同様に医療通訳ツールにも取り組んでいます。
今後もより一層便利なツールが登場することでしょう。


※本記事の記載内容は、2020年6月現在の法令・情報等に基づいています。