社会保険労務士法人長谷川社労士事務所

2018年のトレンド、『来るスマ美容師』とは?

18.07.06
業種別【美容業】
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少子高齢化が進む日本では年々人口が減少していますが、サロン数は増加傾向にあります。そのため、美容業界では利用者獲得のため企業競争が激化しています。今回は2018年のトレンド“来るスマ美容師”をヒントに、新たな収益アップの方法を探っていきます。
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高齢者をターゲットとした訪問美容

内閣府は、2035年に国民の約3人に1人が65歳以上という時代になると予測しています。
シニア世代を対象とした企業アンケートでは、身だしなみに気を配る美意識の高い高齢者が大半を占めていることが判明。
特に60代後半~70代は、元気に生活するために、お金をかけてでも髪型は美しくありたいと考えているようです。
ここにビジネスチャンスを見出したのが、新たな訪問美容(※1)です。

美容業界では動くことが困難な高齢者に向けたサービスが進化しており、高齢者のいる場所に“スマイル”を届けに来る美容師来るスマ美容師』もその一つです。
しかも従来の訪問美容よりも、お年寄りに笑顔になってもらえるというやりがいを感じられるといいます。
車社会の地域にいる一人住まいの高齢者や、介護が必要な人など利用者の幅は広く、時代に合った働き方といえます。


若手美容師やママ美容師の受け皿にも

『来るスマ美容師』を志願する人のパーソナリティはさまざまです。
例えば、地域密着型の若手美容師や、社会貢献意欲と美容師資格をもつ若者、結婚出産などを経て復帰する女性美容師などです。
それぞれに共通するのは、「一人ひとりと向き合いながら人助けをしたい」という想いです。
都会の美容師で研鑚を積んだのち、訪問美容をビジネスとしてスタートする若手も増えているようです。
利用者の家族や介護職員によると、おしゃれな髪型になれることはもちろん、おしゃべりも楽しみのよう。
なかなか外出できない高齢者にとって訪問美容はコミュニケーションの場であり、美容師にとっても新たな発見ができる機会。
最先端のトレンドを追いかけるサロンもあれば、こうして他店と差別化を図るサロンも増えているのです。


特化したサービスが需要を高める

このように、外出が困難な高齢者に向けた出張サービスの需要は、高齢化が進むにつれて高まる一方です。
美容室の件数が年々増え続けている昨今、サロンが生き抜くためには大きな転換が迫られています。
しかし、現在こうした訪問美容などの取り組みをしている店舗はまだ多くありません。
ある大手企業の調査によると現在、訪問美容に取り組んでいるサロン、今後訪問美容を始めたいと考えるサロンを足しても全体の半数以下と消極的です。
それでも若いサロンオーナーなど、いち早く時代のニーズを取り入れて収益に結びつけている経営者もいます。
ヘアカットだけでなく、ネイルやメイクなど、高齢者に向けたメニュー展開をすることで、ビジネスとして成功しているのです。

2018年は介護保険制度改正と介護報酬改定により、理美容市場は大きな動きがあると見込まれています。
今後トレンドから定番となりそうな『来るスマ美容師』は、根本からサロンビジネスを見直すきっかけとなりそうです。

※1 原則、美容師は美容所以外の場所において美容の業をしてはならない(美容師法第7条)という決まりがありますが、疾病などの理由で美容室に行くことが困難な人は例外にあたり、訪問美容は許されています。