社会保険労務士法人長谷川社労士事務所

若年者の医療費が増加している? 母親に支持される医院には“安全”が必要

17.08.04
業種別【歯科医業】
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少子高齢化で子どもの人口は減っていますが、0~14歳の若年者の歯科診療医療費は65歳以上の高齢者とともに増加傾向にあります。
なぜ人口が減っているのに医療費は増えているのでしょうか。 

その理由のひとつとして、歯の健康が子どもの成長過程に大きく影響するといった情報が社会的に広まるに従い、子どもの歯に対する関心が母親の中で高まってきたからだといえます。 

地域密着を目指す歯科医院では、子どもやその母親たちを取り込んでいくことが経営の安定化を図るうえで不可欠であり、実際、多くの歯科医院で子どもやその母親たちに支持される医院になるためのさまざまな工夫が行われています。
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母親たちに支持される医院になるためには、まず子どもの受診活動に大きな影響を与える母親の心をとらえることが重要です。 

例えば、ベビーカーを押しながらでも楽に移動できるようにエントランスから受付、診察室までをバリアフリーにしたり、医院の一角に幼児が遊べるキッズスペースを設けたりするなどの取り組みは広く行われつつあります。
中には、保育士の資格を持つ専門スタッフが常時子どもの相手をしてくれるところもあり、母親が治療に専念できる環境づくりに努めている医院が増えているようです。 

東京・世田谷区にある歯科医院の事例を紹介します。 

診察室は個室で、ユニットの隣にはベビーカーを置くスペースもあるので、母親も子どもの様子をみながら治療を受けることが可能です。また、治療中に流してくれる子ども用DVDも豊富に取り揃えています。 

そして、同医院が何よりも力を入れているのは衛生管理で、治療に使う水を徹底的に除菌する水質改善のための機器や、高圧蒸気滅菌器などを導入。「子どもには安全な治療を」という母親たちの思いに応えています。 

とはいえ、やはり子どもにとって歯の治療は怖いもの。
そうした恐怖心を取り除くために、治療前の子どもに治療機器や器具について説明し、実際に触らせてから治療に入るという医院も。ユニットに座ってからすぐに治療をするよりも、そのほうが安心されるのだそうです。 

また、地域の子どもたちに歯科医院を理解してもらおうと、年に数回、歯科医を疑似体験してもらうといったユニークな取り組みもあります。 

地域の子どもたちや母親に支持されるということは、その世帯のファミリー歯科医としてライフサイクルの一部となることを意味しています。
家族のだれかに歯科需要が発生した際に、まず選んでもらえる歯科医院になることができれば、経営上大きなメリットです。
子どもと母親を取り込んでいくための取り組みに、力を入れてみてはいかがでしょうか。


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