社会保険労務士法人長谷川社労士事務所

求職者から「選ばれる事業所」になるための求人票の作成ポイント

26.06.02
業種別【介護業】
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介護業界の採用難が深刻化するなか、「給与を上げないと人は来ない」と諦めている事業所も少なくありません。
給与面などの待遇は大切ですが、それ以上に「この事業所で長く安心して働けるか」「自分の価値観と合うか」を慎重に見極めている求職者も増えています。 
現在の求人内容で応募が来ないという状況が長く続いているのであれば、求人票が「条件の羅列」に留まっている可能性があります。
介護事業所としてのサービス種別ごとの特性を活かし、求職者に「ここで働きたい」と思わせる求人票を作成するポイントを解説します。

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「ターゲット選定」が成否を分ける

求人票を作成する前に、まず行うべきは「どんな人物に来てほしいか」を明確にすることです。
「誰でもよいから来てほしい」という姿勢では、結果として求職者の心に響かない無難な内容となってしまいます。
たとえば、訪問介護であれば「一人でコツコツと利用者に向き合いたいベテラン」を狙うのか、「家事の延長で働きたい主婦層」を狙うのかで、訴求するポイントは変わってきます。
前者をターゲットにするなら「一対一の深い関わり」を、後者であれば「30分単位で働ける柔軟性」を最優先で伝えることが必要です。
求める人物像が具体的になるほど、求人票に記載する言葉も明確になり応募者の心を惹きつけやすくなります。

多くの求人票には「身体介護・生活援助」といった事務的な名称で掲載されています。
しかし、求職者が求めているのは単なる作業内容ではなく、その仕事を通じて得られる「感情」や「やりがい」です。
その「やりがい」を言語化し、求人票で事業所の魅力をいかに伝えられるかが採用の成否を分けます。

たとえば訪問介護であれば、業務内容が単なる掃除・洗濯ではなく、「住み慣れた家で過ごしたいという、利用者の最期の願いを支えるプロの仕事」であることを強調するとよいでしょう。
デイサービスの場合は、単に利用者をお預かりするという仕事ではなく、「レクリエーションを通じて、利用者様の表情がみるみる明るくなる瞬間をプロデュースする役割」として描きます。

「利用者様のご家族から手厚いサポートについて喜んでもらえた」といった、現場で実際にあった「感謝」のエピソードや、スタッフが誇りに思っていることを具体的に添えることで、仕事への「やりがい」が伝わり、共感を呼ぶことができます。
実際に職場で起きたドラマを言葉にすることで、求職者は「自分がそこで生き生きと働く姿」を鮮明にイメージできるようになるのです。

不安を解消し「ミスマッチ」をなくす

早期離職の最大の原因は「入職前のイメージと現実のギャップ」です。
これを防ぐには、求職者が抱く不安を解消し、よい面だけでなく「大変な面」も誠実に伝える必要があります。
特に「未経験歓迎」と書くのであれば、単なる言葉だけでなく、教育のステップを具体化することが必要です。
たとえば、最初の3回は先輩職員と同行訪問や、チェックリストによる習熟度確認を行うなど、タスクに分解して明確にしておくことが望ましいです。
あわせて、職場の人間関係に不安を抱く求職者のために、スタッフの平均年齢や男女比、お互いをフォローし合う風土などを数値や写真で可視化することも、安心感を与えるうえで非常に効果的です。

また、「忙しい時間帯でも、チームで声を掛け合ってサポートしています」とあえて現場のリアルを伝えることで、仕事への覚悟を持った人材が集まりやすくなります。
事業所の方針や雰囲気を明確に打ち出すことは、自事業所に合わない人を遠ざけ、自事業所に合う人を強く惹きつけることができるため、ミスマッチ防止につながります。

人材獲得において、競合の事業所と給与などの待遇面で競争を続けるには限界があります。
しかし、「私たちはこのような想いで、このような仲間と、このようなケアをしています」という事業所ならではの独自性は、ほかの事業所には決して真似できない武器になります。
求人票を単なる事務手続きの一つとして片付けず、事業所の「未来」を共にする仲間へのメッセージとして、熱意が伝わる内容を用意できれば、求職者は給与以上の価値を感じ、選んでくれることでしょう。
事業所にとって「よい人材」を集めるためにも、採用したい人材のターゲティングを明確にし、業務内容のやりがいや魅力を言語化して、求人票に落とし込むことが大切です。
まずは採用したい人物像のイメージや、事業所の魅力などをまとめるところから始めてみませんか。


※本記事の記載内容は、2026年6月現在の法令・情報等に基づいています。