社会保険労務士法人長谷川社労士事務所

受検期間が延長!『車検』にまつわる基礎知識

25.01.28
ビジネス【法律豆知識】
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車検とは国が自動車などに対して行う検査制度のことで、正式名称を「自動車検査登録制度」といいます。
目的は国の定めた保安基準に適合しているかどうかを定期的に確認することにあります。
また、車検には有効期限があり、期限を過ぎると「車検切れ」の状態となります。
車検切れにならないように、有効期間満了日の「1カ月前から満了日」までの間に車検を受けるのが一般的ですが、この車検を受けられる期間が2025年4月から「2カ月前から満了日」に延長されます。
車検の基礎と共に、受検期間が延長された理由などを解説します。

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車検切れの車で公道を走った際のペナルティ

道路運送車両法では、安全確保や公害の防止、個々の自動車を識別するために自動車や排気量250cc超の自動二輪車は一定の期間ごとに車検を受けるように義務づけています。
車検には登録を受けていない車を新たに登録する「初回検査」と2回目以降に受ける「継続検査」があり、車種の区分ごとに有効期間が設けられています。
たとえば、自家用乗用自動車であれば、初回検査の有効期間は3年、継続検査の有効期間は2年です。
この有効期間が過ぎてしまうと、車検切れとなり、その車を公道で運転することができなくなります。

もし、車検切れの車を公道で運転すると道路運送車両法違反となり、違反点数が6点加算され、30日間の免許停止処分を受けるうえに、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
車検切れになっても運転しなかったり、私有地だけで運転したりするのであれば問題ありませんが、車検切れに気づかず、うっかり公道で運転してしまうケースは珍しくありません。
国土交通省の過去の調査によれば、公道を走行する車の約0.3%が無車検だったというデータもあります。

さらに、自賠責保険は車検と同じタイミングで更新されることが多いため、車検が切れていると、自賠責保険も切れている可能性があります。
車検と自賠責保険が両方とも切れていると、さらに罰則は重くなり、違反点数が6点加算され、90日間の免許停止処分を受けると同時に、1年6カ月以下の懲役または80万円以下の罰金が科される可能性があります。

車検切れになっても車検を受ければ、再びその車を運転することができます。
その場合、車検切れになった車は公道を走行できないため、レッカー車を手配するか、もしくは仮ナンバーを取得し、整備工場やディーラー、カー用品店などの車検場に持ち込みましょう。

車検を受けられる期間が延長された理由

車検切れにならないよう、ドライバーは車検の有効期限を把握しておく必要があります。
道路運送車両法では、車検を受けると発行される車検証の携行と、検査標章(検査ステッカー)をフロントガラスの上部に貼ることを義務づけていますが、車検の有効期限の満了日はこの両方で確認できます。

また、これまで車検は「有効期間満了日の1カ月前から満了日までの間」に受ける必要がありましたが、この「有効期間満了日の1カ月前」という基準が、道路運送車両法施行規則の改正によって2025年4月から「有効期間満了日の2カ月前」に変更されることになりました。

車検の需要は年度末に集中する傾向にあり、この時期は整備や車検の予約が取りづらく、自動車整備士も残業や休日出勤に追われるという問題が生じていました。
車検の期間延長は、混雑の緩和と自動車整備士の働き方の改善が目的で、国土交通省ではドライバーに対し、年度末の車検を避け、余裕を持った受検を呼びかけています。
国土交通省の調査によれば、2019年から2023年までの月別の車検台数は、平均が約281万台なのに対し、年度末の3月は約389万台を記録しています。

車検を受けられる期間が有効期間満了日の2カ月前になったことで、たとえば自家用乗用自動車で2025年5月1日が満了日の場合、3月1日から5月1日までの間に車検を受けられるようになりました。
この2カ月の間に車検を受ければ、2年後の2027年5月1日までが新しい車検の有効期間となります。
満了日の2カ月より前に車検を受けることもできますが、その場合は、次回の満了日が前倒しになってしまうので注意が必要です。

また、車検は保安基準に適合しているかどうかを確認するための検査であり、車を整備したり、劣化した部品を交換したりするためのものではありません。
車検に通っても、次の車検までに故障してしまったり、不具合が出たりする可能性は十分あります。
定期的な点検整備を行うなど、日頃からメンテナンスを欠かさないようにしましょう。


※本記事の記載内容は、2025年1月現在の法令・情報等に基づいています。