メンタル不調による離職を起こさないチームとは。
うつ病を告白して全仏オープンを棄権しました。
「選手の心の健康状態が無視されている」と、
記者会見を拒否したのがきっかけです。
大坂選手は、記者の質問に対してユーモアに富んだ受け答えをしていたので、
少し意外な気がしたのですが、
記者会見の受け答えにストレスを感じていたようです。
個人的には、大会を離れるという大坂選手の決断は、悪くなかったと思います。
仕事のストレスでメンタル不調を起こした場合、
仕事から離れるのが最も効果的な解決方法だからです。
しかし、組織として考えると、これは大問題です。
大坂選手は、世界中の女子スポーツ選手の中で、
最も価値があるとみなされている選手です。
そのような選手が大会に出場しないとなると、
その大会の価値も低下してしまいます。
会社に例えると、売上NO.1だったエース社員が、
突然離職したようなものです。
メンタル不調を起こす組織はどんな組織か?
調査によると、
職場でメンタル不調を引き起こす主な原因は
1.上司との人間関係
2.長時間労働
3.パワハラだそうです。
では、これらの問題を解決すれば、
メンタル不調は無くなるのでしょうか?
組織の問題を解決する場合、
起こっている問題を個別に解決するのではなく、
その問題の根本原因を解決しに行かなければ、
上手くいきません。
私が考えるに、
メンタルヘルス不調は、
適材適所ができていないために、
その人に与えられた目標(業務量)が
高すぎるために起こっています。
上司は、
自分に課せられた目標を達成するため、
部下に強く当たってしまいます。
長時間労働も、
その人に与えられた目標(業務量)が多すぎるのです。
目標を下げたり、目標を投げ出せば、
仕事のストレスは減るのですが、
利益追求型組織にとってそれは不利益です。
仕事の成果とメンタルヘルスの両方を追求するために、
私が着目しているのは、
組織として個人の「強み」をどう活かすか?です。
強みを活かせばメンタル不調は減る
「適所適材」も、
個人の強みを活かせているかどうか?の話です。
同じ会社の人間であれば、
本来、能力にそこまで大きな差は無いはずです。
しかし、同じ会社の人間でも成果の違いが出るのは、
その人が強みを活かす仕事をしているかどうかです。
調査会社ギャラップの調査によると、
自分たちの強みにフォーカスしている組織は、
生産性が12.5%高まるそうです。
また、人は自分の才能が活かされていると感じると、
満足度が高まることが分かっています。
強みに着目すれば、
仕事の成果も上がり、満足度も増えるのです。
テニス協会は今後どうすべきか?
一言で言うと、
テニス以外の部分の選手の苦手なことをサポートする仕組みを取り入れる。
ことが良いかと思います。
大坂選手は、過去のコメント・行動から、
「特に負け試合でうまく受け答えするのが苦手」
でストレスを感じているようです。
インタビューが本業でないため、
大坂選手以外にも、
「敗戦直後はうまく応えられない!」と感じている選手もいるでしょう。
そう考えると、
「負け試合はコーチの同席を認める」
「選手の状況によっては、コーチ単独も認める」
ことが最も効果的な解決策であり、
インタビューも、より良質なものになると思います。
大坂選手も「対話」を求めていたので、
今後、選手・協会が共に良いと思える解決策が、
話し合いにより生まれるでしょう。
強みを活かした組織を目指すなら、
個人の苦手を組織で克服するような仕組みと関係性を築きましょう。
それが、本当の適所適材です。