鬼滅の刃とパワハラ~職場の鬼を斬りますか?
先日は2020年の流行語にも選ばれました。
マンガでは、鬼が滅ぼされるときに、
人間だった過去を思い出すシーンが描かれます。
同情や共感を誘うシーンも多いので、
悪役であるはずの鬼が、
より魅力的になるのもヒットの理由なのではないでしょうか。
人の時は善だったのに、鬼となったことにより悪になっていく・・。
この構図、
実は「パワハラ」を行う上司も同じなんです。
パワハラは、パワハラ上司の問題ではなく、
職場の問題なのです!
*パワハラを起こすのは上司に限りませんが、
分かりやすさを重視して書いています。
【パワハラが起こる構造は、鬼滅の刃の世界と同じである】
パワハラは、以下の3つの要素すべてを満たすものと定義されています。
1.優位的な関係に基づいて行われること。
2.業務の適正な範囲を超えて行われること。
3.身体的・精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること。
マンガでは、
鬼は人に対して、身体的に圧倒的優位な存在であり、
自らの生命を維持するため(時には強くなるため)に、
人を害しています。
職場では、
職場のなかで優越的な関係にある上司が、
自らの職務を守るため(時には成果を上げるため)に、
パワハラという行為を行っているのです。
パワハラを受けた人の一部は、
仕事を休むようになったり、
場合によっては、社会復帰できないことすらあります。
つまり、社会的に殺されてしまうのです。
マンガの中で起こっている悲劇が、
職場で繰り広げられているのです。
【パワハラ防止法の制定】
パワハラが解決する最も早い方法は、
パワハラを起こしている人と、
受けている人とを離すことです。
しかし、企業がそういった対策を打てずに、
パワハラが続く組織では。
働く人のモチベーションが下がり、
ミスが増えるなど生産性も下がります。
最終的には、誰かが
職場を離れるという事態を招きます。
労働生産人口が減少している我が国では、
人材の流出は企業にとって大問題です。
そのような損失を防ごうと、
国は、いわゆる「パワハラ防止法」を制定しました。
今年の6月より、企業はパワハラ防止のために、
雇用管理上必要な措置を講じることが義務となりました。
パワハラ防止法に罰則規定はありませんが、
規定違反への勧告等に従わない場合は、
その旨が公表されてしまいます。
「あなたは、『鬼舞辻無惨』ですよ。」
と公に公表されてしまうのです。
企業は、法に対応するために、
パワハラをした上司を指導し、
ときには配置換えや退職を求める必要があります。
しかし、上司になったということは、
その人には何かしら実績があったということです。
実績があった人を活かせないようでは、
会社の今後の存続・発展は難しいでしょう。
【大切なのは鬼を生まない世界を創ること】
「部下を替えたら、パワハラが無くなった」
パワハラでは良くある話です。
つまり、パワハラは、
上司だけの問題で起こるのではないのです。
職場内において、
・上司と部下で得意な仕事の「やり方」が違う。
・上司と部下で「情報の受け止め方」が違う。
・上司と部下で、仕事に対する「価値観」が違う。
・その職場の目標が高すぎる。
・職場で成果を上げるコミュニケーションを身につけていない。
といった様々な要因が絡み合って、
パワハラが起こっています。
様々な要因が絡み合って起こるので、
その対策も1つではありません。
パワハラ防止のためには、
・人と人の違いをちゃんと理解しているか?
・企業の目標、職場の目標、個人の目標は適切か?
・職場で成果を上げるコミュニケーションが身についているか?
といったことを見つめなおし、
足りない部分については、長期的な視点で教育していくことが重要です。
パワハラは、職場において起こります。
職場で起こるということは、
個人の問題ではなく、企業の問題なのです。
組織として必要な教育をし、
パワハラを生まない企業を作りましょう。
その取組が、
結果として生産性の高い組織づくりに繋がるのです。
実は、パワハラ防止の取組は
チームビルディングなのです。
チームビルディングで、
「鬼を生まない平和な世界」を作りましょう。