山内経営会計事務所

午前0時以降もオープン!『深夜営業』をする際に必要な許可とは

24.08.06
業種別【飲食業】
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飲食店のなかには、深夜営業で集客を図る店も少なくありません。
深夜営業とは、午前0時から午前6時まで店を開ける営業形態のことを指します。
飲食店が営業するためには保健所から営業許可を受ける必要がありますが、深夜営業を行う場合には、加えて警察署に「深夜における酒類提供飲食店営業届出」を提出しなければならないケースもあります。
深夜営業を行うメリットとデメリットや、手続きの方法などについて説明します。

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深夜営業を行うメリットとデメリット

飲食店が深夜営業を行うメリットの一つに、売上の増加があげられます。
都市部においては、特に深夜営業のニーズが高く、終電を過ぎて働くビジネスパーソンや、夜遅くまで遊ぶ若者などの客層を取り込むことができます。
また、ナイトワークや夜勤のお客など、日中の営業時間帯とは異なる多様なお客を確保するチャンスともいえます。
深夜限定メニューや深夜料金などによって客単価を上げることもできるうえ、同じ地域の競合店舗が営業時間を限定している場合などは、差別化を図ることもできます。

一方、深夜営業のデメリットも多々あります。
まず、深夜営業を行うためには、必要な人員を確保する必要があることです。
近年は少子高齢化によって、これまで深夜営業の勤務を担っていた若いフリーターや大学生のアルバイトなど若年層が減少傾向にあり、今後はますます人員の確保がむずかしくなることが予測されます。
結果として、深夜帯の人手不足を社員や経営者が補うことになり、労働環境の悪化や過重労働などにつながる可能性もあります。
実際に深夜労働によって不規則な生活を強いられた従業員が、睡眠障害や健康障害を訴えているケースもみられます。
また、深夜営業は時間外労働に該当するため、従業員に深夜の割増賃金を支払う必要があり、日中の営業に比べると人件費も増えます。

これらのデメリットに加えてコロナ禍が追い打ちをかけ、深夜営業を止めてしまった飲食店も少なからず存在します。
ファミリーレストランやファストフードなどを筆頭とした飲食大手の動向を見てみると、深夜営業を再開したチェーンがある一方で、依然として深夜営業を行わない方針のチェーンも存在しているのが現状です。
深夜営業を検討しているのであれば、まずメリットとデメリットを理解し、冷静に判断しなければいけません。

深夜営業を行うために必要な届出

深夜営業を行う際に、酒類をメインに提供するのであれば「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書」を管轄の警察署に営業開始の10日前までに提出する必要があります。
もし、届出をせずに営業すると、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)」によって50万円以下の罰金が科せられることがあるので注意しましょう。

ただし、酒類を取り扱わない飲食店や、酒類の提供がメインではない飲食店では、届出を提出する必要はありません。
たとえば、ファミリーレストランはビールやワインなどの酒類を提供していますが、メインとなるのは食事なので、深夜営業を行なっていたとしても届出は不要です。
午前0時以降に営業し、酒類の提供がメインになる飲食店は、届出が必要になるということです。
酒類の提供がメインになるのかどうかは、自己判断せずに所轄の警察署に確認することをおすすめします。

また、深夜営業には届出のほかにも、さまざまな条件や禁止事項が定められています。
自治体によっては住居専用地域などでの深夜酒類飲食営業を禁止している地域が多く、店の設備や構造に対しても基準を満たしていないと深夜営業を行うことができません。
夜10時以降は18歳未満の者を働かせることはできませんし、保護者同伴でない限り、18歳未満の者の入店も認められていません。

さらに、接待を伴う行為やお客に遊興させる行為も禁止されています。
スナックやキャバクラなど、接待を伴う飲食店を営業するには「風俗営業許可」という別の許可が必要になり、ナイトクラブやジャズバーなど、お客に遊興させる飲食店を営業するには「特定遊興飲食店営業許可」が必要です。
ちなみに、特定遊興飲食店営業許可は深夜営業ができますが、風俗営業許可では深夜営業が認められていません。
また、「風俗営業の許可」は「深夜酒類提供飲食店営業の届出」と一緒に所持することができないため、どちらかを選ぶ必要があります。

飲食店の深夜営業は、さまざまな細かい規定があるため、届出内容や違反について事前に把握しておくことをおすすめします。
書類作成なども含めて専門家に依頼するとよいでしょう。


※本記事の記載内容は、2024年8月現在の法令・情報等に基づいています。