7.1 社員と経営者の幸福を同時追求するガバナンス(第2部・第7章・第1節)
永続を目指し続ける~非上場・中堅・中小企業のための「持続可能な経営の設計技法」~
今回は、青字の部分です。
第2部:4バリュー実現のための経営技法(各論)(ToDo)
7. 人生の幸福
7.1 社員と経営者の幸福を同時追求するガバナンス
7.2 安全・安心・ポジティブな職場づくり
7.3 社員・経営者・会社の●●化による処遇と働き甲斐の向上
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7.1 社員と経営者の幸福を同時追求するガバナンス
幸福とは何か、これは永遠の問いであり、その答えは人により異なります。
同じ人でも、その答えは人生の経過とともに移ろっていくものです。
では、その人生の中で、「会社で働く時間」、すなわち生涯労働時間はどのくらいでしょうか?長そうだ、とは思いますが、「何時間か?」と問われると、即答は難しいのでは?あてずっぽうのカンでいいとしたら、あなたなら何時間と答えるでしょう?
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とはいえ、計算可能な問題なので、計算してみましょう。
大雑把な仮定をおいて、ざっくり計算すると、こんな感じです。
①40年間働くとする
②1年240日働くとする(年間休日125日)
③1日8時間働くとする(法定労働時間)
④生涯労働時間=①40年×②240日/年×③8時間/日=76,800時間
働く年数、日数、労働時間次第で、多くも、少なくもなります。
50歳でFIRE(Financial Independence, Retire Early)を目指す人なら①は短くなりますが、そのために②③は長くなるかもしれません。
生涯現役を目指す人なら①は長くなりますが、年を重ねてからの②③はほどほどに抑えて、となるかもしれません。
ご自身の場合にあてはめて、計算してみたら、どうなりますか?
・働く年数(①)年×日数(②)日/年×時間(③)時間/日=(④)時間/生涯
これだけの時間を幸福に過ごすのと、そうでないのとでは、人生全体の幸福感は大きく違いますね。
ちなみに、40年というのは、18歳高校新卒~60歳定年(42年)と22歳大学新卒~60歳定年(38年)の間ですが、今後65歳定年、70歳定年の会社が増えてくると、45年、50年となってきます。このほかに通勤時間もありますからね(在宅勤務が増えると、通勤時間は反比例して減ります)。
私の場合は、、、生涯現役の方に近く、75歳まで現役のつもり(53年、あと17年)なので、①年数だけで上記の計算の3割増し以上です。残り2項目(②日数、③時間)も、現在までの36年はずいぶんオーバーしてきたので、これから減らせたとしても、生涯10万時間は確実に超えます(というか、もう超えてるかもしれません)。
さて、この長くて貴重な人生の時間を、経営者も社員も、できることなら幸福な時間として過ごしたいですね。
そのための会社づくりの土台となるのが組織のガバナンスです。
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ガバナンス(governance)は、企業や組織が持続可能な成長を実現し、社会的責任を果たすための「統治・支配・管理」を指す言葉です。企業におけるガバナンスは、「健全な企業経営を目指す仕組み」や「企業自身による管理体制」などを意味します。(日本能率協会マネジメントセンターHPより)
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この点について、詳しくはCSR(企業の社会的責任)のC(コーポレート)の意味(第1部・第2章・第2節)のところで触れましたが、法人として、社会の価値観に適合するような振る舞いを行えるようにすることが最低限、必要です。
なぜなら、社会の価値観に適合しない振る舞いを行うことは、(社会を構成する善良な一員である)社員の価値観にそぐわないと考えられるからです。会社のためと思ってそれを強要ないし許容する経営者も、(社会を構成する善良な一員としての)個人の立場で考えれば、よしとしないでしょう。
※仮によしとするのであれば、「反社会的勢力」と何ら変わらないということになります。
論語に「己の欲せざるところは人に施すなかれ」という一節があります。自分がされたくないことは人にしない、ということですね。一個人であれば、内面的な倫理の話ですが、法人という組織になると、多くの人が関係してくるので複雑化した「統治・支配・管理」の仕組みが必要になります。
ただ、仕組みがあることではなく、結果として、法人が社会の価値観に適合し続けること(コーポレート・ソサエティ・フィット)が重要です。
もう1つ重要なのは、会社もまた、1つの社会であるという視点です。
当社が実施するSDGs導入研修の中で、「SDGs17ゴールと自社・自分のひもづけ」というワークがあります。
1回目は、自社とSDGs17ゴールのひもづけを、企業理念や事業活動、商品・サービスなどから考えて、1人ひとりに発表してもらいます(1人につき3つ)。「当社は●●なので、●●を追求するゴール●●が関係します」といった感じですね。結果としては、受講者の考えが完全に一致することはないですが、一定の傾向が読み取れます。
2回目は、自分自身の生活や価値観とSDGs17ゴールのひもづけで、やり方は同様です。「私は●●なので、●●を追求するゴール●●を大事にします」といった感じですね。当然のことですが、1人ひとりの生活や価値観は多様ですから、結果はバラバラになります。
実のところ、1回目のワークはやらなくても、だいたいロジックで想定できますし、やってみた結果は、それと大きな食い違いは出ません。多くの会社のSDGs宣言は、そうやって作られているはずです。
一方、2回目のワークはやってみないと、どういう結果になるかはわからないのですが、実はここから、普段はなかなか聞くことのない社員1人ひとりの「個人として考える幸福」の一端を垣間見ることができます。
※このとき、それを聞いて「おかしいね」とか「変わってるね」とかいうネガティブなリアクションが生じると、「貝が閉じる」ことになるので、前段で、そうならないような場づくりをしておくことが必要です。この点については次節で。また、無理やりプライベートな事柄を開示させるような進め方にならないように注意が必要です。
こうした、会社の「内なる社会」の価値観の多様性をどれだけすくいとり、組織の仕組み(具体的には、様々な制度や規定の整備・運用)や組織運営に反映できるかも、会社のガバナンスにおいて重要です。
たとえば、「働き方改革」を具体化する就業規則や賃金規定の整備・改定は、その一環(一部)といえます。
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「働き方改革」は、働く方々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするための改革です。(厚生労働省働き方改革特設サイトより)
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もちろん、経営者もステークホルダーの一員ですから、内なる社会の構成員です。株主資本主義では「株主利益を最大化せよ」、ステークホルダー資本主義では「さまざまなステークホルダーに配慮せよ」、と求められる経営者ですが、経営者自身の求める幸福は何でしょうか?
これを置き去りにすると、経営者は文字通り「滅私奉公」の人生になってしまいます。それではつまらないですね。
あなた自身の経営者として求める幸福は何ですか?
新約聖書には「己の欲するところを人に施せ」という言葉があります。黄金律というそうです。自分のしてほしいことを人にせよ、ということですね。先に引用した論語の一節とは裏返しの表現です。
どちらにしても、「己の欲せざるところ」と「人の欲せざるところ」、「己の欲するところ」と「人の欲するところ」の適合性(一致度)が大事です。ここにズレ・モレがあると、よかれと思ったことが、案に相違して残念な結果になってしまうので。
私自身の欲するところについては、9月25日の特別無料セミナーでお話しする予定です。
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