財務と非財務が融合した「経営●●計画」の12ステップ(第1部・第3章・第2節)その1
永続を目指し続ける~非上場・中堅・中小企業のための「持続可能な経営の設計技法」~
今回は、青字の部分です。
第1部:永続戦略としての4バリュー経営モデル(総論)(Plan)
3. 4バリューを実現する経営計画の作り方
3.1 ●●年先のビジョンから今の経営を考える
3.2 財務と非財務が融合した「経営●●計画」の12ステップ
3.3 自社の過去・現在・未来を表す「コンセプトブック」
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3.2 財務と非財務が融合した「経営●●計画」の12ステップ
2015年箱根駅伝初優勝の時の「ワクワク大作戦」で一躍有名になりましたが、青山学院大学陸上競技部原監督の「●●大作戦」シリーズがあります。
とくに今年の箱根駅伝では、序盤の16位からの逆襲で、往路新記録・復路新記録・総合新記録、2度目の3連覇を達成しました。
上位の他大学も数年前なら優勝できるタイムでしたが、リクルート~育成・鍛錬~年間計画~チーム編成~当日の配置~レース運びに至るまで、長期~中期~短期の時間軸を一貫した総合的なマネジメント力の差が、タイム差以上に感じられました。「輝け大作戦」の名前通りの輝きです。
ついでながら、駅伝優勝大作戦という名前のファンドレイジング特設サイトまであるんですね。
会社の場合、「●●大作戦」に当たるのが単年度(短期)の事業計画ということになります。
その前提として、会社の「永続を目指し続ける」のであれば、長期(30年)、中期(3-5年)という時間軸がふさわしいという話を前節でお伝えしました。
今回は、その時間軸での長期ビジョン・中期計画をつくるステップについてお伝えします。
さて、PDCAサイクルがうまく回らない理由の一つに、P(計画)がうまくつくれない、ということがあります。Pができなければサイクルがスタートしませんし、やる気の出ないPをつくってもD(実行)されません。それがPDCA「もどき」に陥る唯一最大の理由です。
実は、PDCAサイクルというのは計画「遂行」フェイズのモデルであって、計画「立案」フェイズのモデルではありません。そもそも、PDCAサイクルがPから始められるのなら、降って湧いたように・いきなり・突如として計画が出現する、ということになりますが、そんなことはあり得ません。
環境・品質などのマネジメントシステムの構築は、すべては「方針」から始まり、そこから目標-実行-評価-見直し(PDCA)に落とし込まれていく体系になっています。ですが、この「方針」も、いきなりオギャーと生まれるわけではありません。
まずは、組織の内外の状況と、利害関係者のニーズ・期待を把握し、それを踏まえて組織をどのように運営していくのかという経営者の考え方を明確化する必要があります(リーダーシップとコミットメント)。
※超詳しくは、ISOのハイレベルストラクチャー参照(見なくてもいいです)
ということは、きわめて全うというか当たり前ですが、急がば回れ、計画「立案」のはじめの一歩は「現状把握」。で、「方針」が二歩目で、これは経営者の未来に対する「意志」を固めることです。そして、その「意志」(will)を実現する道筋(way)が「計画」で、三歩目。
PDCAサイクルを回しながら進んでいくと、意志あるところに道は開ける(Whehere there is a will, there is a way.)ということになるわけです。
実際には、「現状把握」、「方針」、「計画」の三歩だと超大股すぎるので、もう少し細分化して12ステップに分解します。毎月1ステップずつ進めていけば、1年で一丁上がり!という算段です。
社内に経営者・管理職・若手社員からなるタスクグループを設置して、世代・社歴・部署・職種の異なるメンバーでワークを進めていくのがおススメです。
(私が関わる場合は、ワークをファシリテートしながらメンバーをサポートする役回りです)
(1)現状把握:過去~現在まで
ポイントは、「現状把握」はいくらでも詳細精密に行うことができますが、やりすぎると、やっている間に「現状」が変わってしまうので、ほどほどにしましょうね、ということ。
しかし、何をどのくらいやれば「ほどほど」なのでしょうか?「自由演技」だと漠然とした作業課題となり、ゼロから自力で考えることになるので、ハードルが高いですね。
そこで、フレームワークやチェックリストなどの「型」を用いた「規定演技」をお勧めしています。
標準的には、下記の4ステップの問いに答えていくかたちで言語化・数字化・図解化していきます。
➡のところに、その問いに答えることで直接的に得られる成果物を例示しておきました。単に作業して終わりではないということです。
①会社の成り立ち(経営資源と歴史)の棚卸:
・Q:会社を支えている「資本」は何がどれだけあるか?
➡財務・製造・知識・人的・社会関係・自然の6資本の数値化
・Q:会社はどのようにして今日まで生き残ってきたか?
➡過去の危機・転機とイノベーションのストーリー化
★この部分は、元々当社オリジナルの「SDGsメガネ」分析に統合報告フレームワークをとりいれ、バージョンアップしたものです。
(初出:グリーン購入ネットワークGPNnews108号(2018年3月)「企業のSDGs事始め~"SDGsメガネ"をかけてみよう!」
②事業構造(ビジネスモデル・ビジネスプロセス)の棚卸:
・Q:会社は誰に・どのように商品・サービスを提供して売上・利益を得ているか?
➡ビジネスモデル(稼ぎ方の構造)の図解化
・Q:会社の事業は、誰が・どのように遂行しているか?(ビジネスプロセス)
➡ビジネスプロセス(業務の構造)の図解化
★この部分は、「早期経営改善計画」のビジネスモデル俯瞰図や、一般的な業務プロセス図の手法を用います。
③会社のお金(財務面)の棚卸
・Q:会社のお金の流れ(損益の構造)はどうなっているか?
➡「お金のブロックパズル」で図解化
・Q:同業等との比較ではどうなっているか?
➡ローカルベンチマーク(経産省)や経営自己診断システム(中小機構)などを活用し数値化
★この部分は、キャッシュフローコーチや認定経営革新等支援機関としてのスキル・ツール等を活用します。
④非財務面(ESG)の棚卸
・Q:会社の非財務面の取組内容・実態は、世の中水準でみてどのくらいか?
➡公表されているチェックリスト等を活用してセルフチェックを実施して見える化
・Q:会社の非財務面のリスクと機会は?
➡非財務面の取組を強化することで回避できるリスク、追求できる機会を特定し言語化
★この部分は、第3部第8章「中堅・中小企業向けのアセスメントツールあれこれ」のところで詳しく紹介します。
★予告的に先出ししておくと、地方公共団体による「SDGs宣言」や「SDGsパートナー」制度、地方銀行等による「SDGs診断」等のほか、東京オリ・パラ、大阪・関西万博の持続可能調達、東京都の社会的責任調達等で使用しているツールがあります。
あなたの会社の組織としての棚卸はしましたか?
次回、引き続き12ステップについて解説していきます。
(2)経営方針:望ましい未来
⑤パーパスの定義(または再確認)
⑥アウトカムの定義(ステークホルダーへの良い影響力の発揮)
⑦インパクトの定義(社会への良い影響力の発揮)
⑧長期ビジョンの定義
(3)経営計画:現在~望ましい未来への道筋(Way)
(中期)
⑨経営課題の明確化
⑩財務・非財務の目標(KGI・KPI)
⑪アクションプラン(PMF・イノベーション)
(短期)
⑫事業計画(単年度)