●●年先のビジョンから今の経営を考える(第1部・第3章・第1節)
永続を目指し続ける~非上場・中堅・中小企業のための「持続可能な経営の設計技法」~
今回は、青字の部分です。
第1部:永続戦略としての4バリュー経営モデル(総論)(Plan)
3. 4バリューを実現する経営計画の作り方
3.1 ●●年先のビジョンから今の経営を考える
3.2 財務と非財務が融合した「経営●●計画」の12ステップ
3.3 自社の過去・現在・未来を表す「コンセプトブック」
※本記事の無断引用・転載・複製・配布等はご遠慮ください。
※予告なく記事内容の訂正・修正・補足等を行うことがあります。
3.1 ●●年先のビジョンから今の経営を考える
VUCAの時代と言われるようになって、何年もたちました。ルーツは古いようですが、一般には、2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)をきっかけに広まりました。要は先行き不透明で予測できない時代の特徴を、次の4つの頭文字で表したもの。
---
V(Volatility:変動性)
U(Uncertainty:不確実性)
C(Complexity:複雑性)
A(Ambiguity:曖昧性)
---
最近では、さらにBANIという考え方が出てきました。「客観性を重視するVUCAに比べ、BANIは主観的な心情に重きを置いている点に特徴」があるそうです。
---
B(Brittle:もろい)
A(Anxious:不安)
N(Non-Linear:非線形)
I(Incomprehensible:不可解)
---
VUCAが「参ったなー、でもどうにかできるかな」のところ、BANIは「もうこれ、無理ゲーでしょ」、諦めモードといった感じでしょうか。
ただ、ゲームならやめればいいわけですが、人生も経営も「無理ゲー」からおりることはできません。「無理ゲー」なりに、リスクと機会のマネジメントを行って、どうにかこうにかしていく(manage)していく必要があります。
VUCAでBANIな時代なんだから計画なんて立てても意味がない、どうせすぐに状況は変わるし、なるようにしかならないよ、というのは一見もっともです。
しかし、経営者がそうやって「♪時の流れに身をまかせ~」「♪明日は明日の風が吹く」だったら、社員としては心配ですね、自分の人生が。
むしろ、VUCAでBANIな時代「だからこそ」、外部環境がどうあれ、成し遂げたいことを明確にして、それに向かって進み、やり方やコースは状況に合わせて調整していく姿勢が重要なのではないでしょうか。
---
Where there is a will, there is a way.
意志あるところに道は開ける
---
これ、私の好きな言葉です。wayは臨機応変・やり方100万通り、willはそう簡単には曲げない・妥協しない・諦めない。
そして、意志(will)を実現する道筋・やり方(way)を、言語化・数字化・図解化したものが計画です。
では、計画を立てるときに最初に決めるべきことは何でしょうか?
・・・
・・・
・・・
いろいろな答えがあると思いますが、シンクタンク時代・独立コンサルタント時代を通じでさんざん、何百という計画を立ててきた経験からすると・・・
・・・
・・・
・・・
「いつまでに」という時間軸です。
これを決めないことには、「いつか」「そのうち」、いつまでたっても「●年後には」、そうこうしている間に●年×●回が経過してしまいます。
なお、意志(will)がある、というのは前提条件です。「海賊王におれはなる」とか。じゃあ、「いつなるの?」。
答えが「今でしょ」なら、計画はいらないですね。今すぐなりましょう。
答えが「今ではないでしょ」(今すぐはなれない)なら、今はなれない条件をつぶし、なれる条件を整えるために時間が必要で、その時間を何にどう使うかが計画です。
何をどこまで目指すかの意志(will)が大きく高ければ、整えるべき条件も増え、難易度も上がるので、通常は、時間軸は長くなります。
では、会社の「永続を目指し続ける」(本書の予定タイトル)計画においては、どのくらいの時間軸がふさわしいでしょうか?
ちなみに、世界でもっとも永続に近い会社が日本にあります。世界最古の企業といわれる金剛組、西暦578年創業です。もうすぐ1450周年ですね。
究極、そこを目指すとしても、「今から」1450年後というと、西暦3476年ですから、人類社会が存続できているかどうかもわからない未来です。
私は、これまでのセミナー・講演・研修等では、長期・中期・短期の3つの時間軸で考えましょう、とお伝えしています。
①長期は30年
通常(といっても、立てている会社はあまり多くありません)の長長期計画では10年ぐらい、カーボン・ニュートラルやESGの文脈だと2050年(今から24年後)という打ち出しもありますが、それよりも長めです。
その意図は、30年という時間軸で会社の未来を考えると、ほとんどの場合、現社長の代では収まらないからです。
私の場合、現在57歳ですから、30年後というと87歳です。会社経営というより、生きているかどうかすら疑わしい未来ですね。私の人生計画では、85歳であの世に旅立つ予定にしています。
もし私が、自分の会社の永続を願うならば、少なくとも、次の代の社長にバトンタッチすることが必要です。
次の社長が次の次の社長にバトンを渡す、次の次の社長が次の次の次の社長にバトンを渡す・・・を繰り返しできれば、会社が永続に近づいていくということになります。
社長の平均年齢は60代ですから、長期30年で会社のことを考えてください、ということは、多くの場合、自動的に事業承継を視野に入れてください、という意味になります。また、30年後には今の事業が消滅しているとしても、会社が存続し続けている未来を考えるならば、事業の入れ替え(いわゆる事業再構築)が必須不可欠ですね、というメッセージでもあります。
そういうことも視野に入れて30年後、会社がどうなっていたら理想的か、そのビジョンを明確化することを考えます。
一方、30年考えて・・・暗いビジョンが明確化、つまり自分の代限りだな、の結論に至る場合もあるかもしれません。その場合は「会社の永続」ではなく「会社の終活」の計画が必要です(が、それは本書の扱う範囲外)。
②中期は3-5年
一般的な中期経営計画の時間軸です。1996年(平成6年)からみて30年後が今年2026年(令和9年)です。1996年の時点で、2026年の社会経済技術等の状況を具体的に見通すことは極めて困難であったし、これから30年後(2056年)の社会経済技術等の状況を具体的に見通すことはさらに困難でしょう。
とはいえ、ある日目が覚めたら2056年になっていた、ということにもならないので、日々、月々、年々、30年後にこうなっていたい!の意志を実現するための歩みが必要です。
ただ、3-5年の先がない中期計画との違いがあります。
---
A:30年後からのバックキャスティング(逆算)で考えた計画
B:今からのフォーキャスティング(予測)で考えた計画
---
があるとします。
Aだけで考えると高すぎる目標、性急すぎる行動計画になりがちな一方、Bだけで考えると低すぎる目標、遅すぎる行動計画になりがちです。Aの観点をもちながら、Bをどこまで引き上げられるか、トランジション(漸進)の計画ともいえます。
また、中小企業庁施策で認定を受ける経営革新計画・経営力向上計画等の計画期間はたいてい3-5年、補助金申請の事業計画も3-5年です。中小企業支援策の活用という観点からも、あらかじめ、同じ時間軸で計画を立てておくとスムーズです(これは、認定経営革新等支援機関としての見地)。
③短期は1年
いわゆる単年度計画ですね。ただし、①長期→②中期から落とし込まれてきた単年度目標を追いかけるので、単に「今年はこれだけやるよ」(え、その先は?・・・)とは「やるべき意味合い」が違いますね。
単年度計画になると、日次・週次・月次・四半期・半期・通期のPDCAマネジメントになってきますので、通常の目標管理と同様です。
問題は、通常の目標管理においては、PDCA「もどき」に陥りがちだという点です。計画立てただけのP-------。朝令暮改PPPPPP。ひたすら実行PDDDDDD、など。多くの場合、Pが難易度高すぎるか、やる意味が感じられないほど低いことが原因です。
今回は時間軸に限った話でしたが、次回は計画の「中身」について解説していきます。
あなたの会社の経営計画の時間軸は何年ですか?
経営計画ないです・・・の場合は、次回以降を参考にしてみてください。