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話さないのも「信頼の証」

16.09.30
ビジネス【人的資源】
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コミュニケーションの基本が「話すこと」にあるのは間違いない。組織をまとめるリーダーであれば、話し上手にも聞き上手にもなりたいと願うだろう。 

しかし、現実のビジネスシーンでは、なかなかうまくいかないものだ。納期やノルマは絶えず追いかけてくるし、突発的なトラブルに襲われることもある。

大事なプレゼンや会議の前には、「準備はできているか」「段取りはOKか」などと、同じようなことを何度も部下に確認してしまうかもしれない。
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プロスポーツの監督=上司は、選手=部下と仲良くしないタイプが多い。采配に私情が絡んでしまうから、という理由からだ。 

ならば、監督たちはどのように意思を伝えているのだろう? 

自らの右腕としてのコーチを橋渡し役として、起用法などの狙いを選手側に浸透させていく方法がある。 

また事細かに伝えない方法もある。「調子はどうだ?」「今日も期待しているぞ」といった言葉をかける程度にとどめて、具体的な指示をしない監督がいる。

こうしろ、ああしろ、と言わない監督たちは、それによって「キミを信用しているぞ、キミならできるぞ」という意思を示しているのだ。 

そうしたスタンスの監督たちも、「本当はたくさんのことを伝えたい」と苦笑いをする。

しかし、「自分が指示をした通りにやってもらうのではなく、選手自身が考えてプレーするほうが、たとえ失敗しても成長につながる」と口をそろえる。 

「押しつけの成功体験よりも、自発的な失敗体験にこそ価値がある」という考えは、アスリートの自主性をはぐくむことにつながる。

実際に闘うのは選手自身だからで、ビジネスシーンにも共通するはずである。 


スポーツの視点からみる人的資源 


[プロフィール] 
戸塚 啓(とつか・けい) 
1968年、神奈川県生まれ。法政大学法学部法律学科卒業後、雑誌編集者を経てフリーのスポーツライターに。新聞、雑誌などへの執筆のほか、CS放送で欧州サッカーの解説なども。主な著書に『不動の絆』(角川書店)、『僕らは強くなりたい~震災の中のセンバツ』(幻冬舎)。 

[記事提供] 

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