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人が過去にこだわってしまう理由・・・藤田です。

16.06.09
職員通信1
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この間、パスポートを探して家中、家探しをしました。その最中、もう使わなくなっているものや、いらないものが家の中にあふれていることに気が付き、うんざり、、、。

そうだ!断捨離をしよう!と思い立ちました。

断捨離という言葉は、2010年の流行語大賞にノミネートされてから、すっかり一般的に使われるようになりました。ヨガの教えにもとづく造語で、「物の片づけを通して自己を知り、心の混沌を整理して人生を快適にする行動技術」だそうです。この言葉が流行となった背景には、過去に購入したものをなかなか捨てられないという多くの人が持つ経験があります。購入したものの使わずに置いてあるだけなのに捨てられないこれは、不合理な行動といえるでしょう。

行動経済学では、これを「サンクコスト効果」の影響と解釈するのだそうです。
サンクコストは埋没費用と訳され、すでに支払ってしまい、取り返せない費用を意味します。
費やされた費用、時間、労力を重視しすぎることで、その後も無駄な投資を続けるなど不合理な行動をとってしまう心理をサンクコスト効果と呼んでいます。

サンクコスト効果は、モノやお金のみならず、時間や労力まで広範囲な物事に対して働きます。
実は、サンクコスト効果は身近にあります。ビジネスにおいては、サンクコストに縛られている消費者心理をうまく突いて、成功する例が多くみられています。

 たとえば、会員制で、年会費4000円を支払えば店内の低価格の商品を購入できるというお店の仕組みでは、会員にならなければ、入店できません。すると、消費者は、年会費を払って会員となったからは、買わないと損という気分になり、必要以上に買い込んでしまいます。これは、前払いの年会費というサンクコストにこだわる心理を利用しているのです。

 他には、私もその一人ですが、「分冊百科」の例があります。
全50巻でしたでしょうか、各号に付属するドールハウスのパーツを組み立てると、とてもすてきな作品が出来上がるというものでした。これを消費者が買い始めると費やした購入代金や毎回作り続けた労力が無駄になることに耐えきれず、最終号まで買い続けてしまいます。

 又、イギリスとフランスが共同開発をした超音波旅客機コンコルドも有名な事例です。開発当初は美しく個性的なデザインで人気を博し、世界中から発注を受けました。しかし、その後大きすぎる騒音や大量輸送と低コスト化へと変わる航空業界事情に合わないなどの理由で採用が相応しくないとわかります。それにもかかわらず、開発に大きなコストが投じられていたために中断ができませんでした。開発費用というサンコストに捉われた結果、事業は失敗に終わりました。
この結果、サンクコスト効果と同義のコンコルド効果という言葉も生まれたそうです。

サンクコスト効果の主な原因は、損失を過剰に避けようとする損失回避の心理です。

人は失いたくないものがあります。
お金やモノだけでなく、判断を否定されて失うプライド、投資を無駄にしたことで失う信用もそうでしょう。
ただし、これらを失うまいとした結果、さらに大きなものを失う危険が自身の心にもあることを覚えておきたいものです。

すべて断捨離をしたら、私には、何が残るのか、、、快適な人生でしょうか?