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男女雇用機会均等法の緊急課題は「子ども」

16.02.12
ビジネス【人的資源】
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男女雇用機会均等法は生まれてから30年経ち、社会の中に浸透しつつあります。その中でも、最後に残された大きな課題は、少子化対策に結びつく、職場における妊娠・子育て問題です。
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<ベテラン教授でも妊娠を制限?>

20年以上も前の話ですが、著名な労働法の教授が大学の採用面接を行い、女性の教員(既婚)を採用としました。

そのときの条件が、「3年間は子どもをつくらない」ということだったそうです。それに応じた女性は教員としても実績を上げ、教授に昇進しました。その後、妊娠をして子どもを産みました。

ところがその子どもに障がいがあったのです。高齢出産にこのような問題があることは、今や常識になりつつありますが、当時、当事者たちは気がつかなかったのでしょう。

それにしても、採用の条件に妊娠の制限をするとは、当時でも首をかしげたくなります。

<「子ども」は嫌われもの?>
 

今なお、女性にとって、そして男性にとっても、子どもは生涯を左右する大問題です。また、職場における秩序は妊娠・出産・子育てを前提にしていませんから、管理者にとっても大きな問題です。

採用のとき、「子どもが生まれたらどうするか」と問われる例があります。また、妊娠の報告をしたら、退職を勧められた、採用の契約をなしにする、という例もあります。 

妊娠をすると、いろいろな問題が出ます。体調不良や母体保護に気をつけなければなりません。

雇い主としては、代替要員を確保するなど、会社の負担が生じます。妊娠中の母性健康管理のため、通勤、休憩、作業の制限などにも配慮しなければなりません。産休後の職場復帰についても問題があります。

担当していた業務が肩代わりされたので、退職してもらいたいとか、復帰後、不利な扱いを受けたという例もあります。 

<「子ども」は社会の宝では?> 

出産後も育児の問題がありますし、新しい課題として不妊治療が出てきました。すべて、少子化対策を考えれば、社会の問題です。

また、公務部門や大企業は、これを解決するルールがある程度でき上がっていますが、非正規雇用や中小零細企業の場合、まだまだです。「妊娠・出産などで不利益な扱いはできない」というのが原則で、それを補償する社会保障・社会保険が整備される途上です。

女性に非正規雇用が多いのも、このような背景があるからでしょう。 


企業成長のための人的資源熟考 


[プロフィール] 
佐野 陽子(さの・ようこ) 
慶應義塾大学名誉教授。1972年慶應義塾大学商学部教授。87年から2年間、日本労務学会代表理事。89年から2年間、慶應義塾大学商学部長・大学院商学研究科委員長。96年東京国際大学商学部教授。2001年から4年間、嘉悦大学学長・経営経済学部教授。主な著書:『はじめての人的資源マネジメント』『企業内労働市場』(ともに有斐閣)。 


[記事提供] 

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