皆さんこんにちは、税理士の佐藤です。・・・「動機善なりや、私心なかりしか」
1984年それまで通信事業は電電公社しかなかった時代に稲森和夫氏は第二電電(現KDDI)を設立します。
通信事業に全くの素人の稲森氏がこの事業に乗り出す際に半年間毎晩寝る前に自問自答した言葉がこの「動機善なりや、私心なかりしか」だったそうです。
通信事業に全くの素人の稲森氏がこの事業に乗り出す際に半年間毎晩寝る前に自問自答した言葉がこの「動機善なりや、私心なかりしか」だったそうです。
稲森氏は以前から日本の長距離通信料の高さが国民の負担になっていることを懸念しており、通信事業の自由化を機にどこかの企業が名乗りを上げて通信料を引き下げて欲しいと期待していました。
ところが誰も手を上げません。ベンチャースピリッツが旺盛な氏は「だんだんイライラして」自ら名乗り出ることにしたのです。
立候補したものの、心中は穏やかでなく常に自問自答していました。
「じぶんが通信事業に乗り出す動機は、世の為人の為と言う純粋な思いなのか」
「自分の利益や都合、恰好ばかり考えていないか」
半年間、毎晩寝る前に
「動機善なりや、私心なかりしか」
と問い続け、ようやく答えにたどり着きます。
「京セラの発展の為では無く、一般大衆の為に料金を下げるのが目的だ」
通信事業の経験がない稲森氏が「第二電電」を軌道に乗せることが出来たのは
「純粋な気持ちで事業に取り組んだから」なのです。
何かを始めようとする時、自問自答して「自分の動機の善悪」を判断する必要があります。
「善」とは誰から見ても普遍的に良い事です。
「自他ともに受け入れられる動機」が見つからなければ取り組んではいけません。
自己中心的な発想で仕事を進めても仲間がついてくることは無いからです。
(皆木和義著 『稲森和夫の経営』より)