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ビジネスにも「ダービー」を

15.08.28
ビジネス【人的資源】
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前回のコラムで「好敵手の重要性」を紹介した。お互いを認め合う存在が競い合うことで、個人が成長する。組織全体が活性化する。 

好敵手の重要性は、社内にとどまらない。プロ野球セ・リーグの巨人は、阪神の存在に闘争心を燃やす。阪神もまた、巨人を強烈に意識する。
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サッカーには「ダービー」がある。その語源はサッカー発祥の地イギリスに見られ、街を二分するチーム同士の対戦を指す。この試合ばかりは、その時点の順位は関係ない。上位チーム対下位チームの対決だとしても、互いのプライドと意地がぶつかり合う。分かりやすく言えば、「絶対に負けられない一戦」である。 

ダービーが興味深いのは、はっきりとした浮揚効果を持っていることだ。それまで不振にあえいでいたチームが、ダービーの勝利によって上昇気流をつかむ。ゴールから遠ざかっていたフォワードが、ダービーでの得点をきっかけに調子を取り戻す。 

好調なチームは、さらなる勢いをつかむ。ダービーを制したことで、タイトル獲得へ突き進んだ事例は数多い。 

ビジネスの世界にも、ダービーがあっていいのではないだろうか。「あの会社だけには負けるな!」を号令に、あくまでも自分たちの範囲でダービーを作ってもいい。同業他社と協調して、お互いが公認するダービーとなれば、社内が活性化するのは間違いない。 

自分たちを脅かす敵がはっきりすると、組織の空気は変わる。「負けられない」という意地が個性的な発想を生み出し、組織の結束を強めるのだ。さまざまな波及効果を、ぜひ実感してほしい。 


スポーツの視点からみる人的資源 


[プロフィール] 
戸塚 啓(とつか・けい) 
1968年、神奈川県生まれ。法政大学法学部法律学科卒業後、雑誌編集者を経てフリーのスポーツライターに。新聞、雑誌などへの執筆のほか、CS放送で欧州サッカーの解説なども。主な著書に『不動の絆』(角川書店)、『僕らは強くなりたい~震災の中のセンバツ』(幻冬舎)。 

[記事提供] 

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