佐藤会計のスタッフメルマガ!!

皆さんの疑問にお答えします・・・藤田です

13.11.15
職員通信1
dummy
季節は秋となり、あっという間に今年も終盤に差しかかってきました。

当事務所でも、年末調整の作業が始まりつつあります。  

そこで、今回は地方税でよく疑問にあがる規定についてお答えしたいと思います。
≪転居に伴う個人住民税の納付地について≫


~住民票所在地と実際の住所地が異なる場合~


Q1.当社に甲氏が入社してきました。
 
 甲氏によると、「御社に就職が決まったので、A県a市にアパートを借りて暮らすことにしましたが、当分の間、住民票は実家のB県b市に置いておくつもりです」とのこと。

 個人住民税は、住民票のある市町村が、課税するものと理解しています。

 となると・・・甲氏に対する個人住民税は、住民税のある市町村に課税権があると考え、給与支払報告書はB県b市に提出するべきでしょうか?


A1.通常は、住民票のある市町村と実際に住んでいる市町村は同じです。
 
 しかし、上記の質問のように異なると、個人住民税の課税で問題が生じます。

 地方税である住民税は、都道府県や市町村から受ける行政サービスの対価を負担する税金です。
 個人の住民税は、それを運営する各都道府県及び市町村ごとに納付する必要があります。

 原則として、個人住民税は「都道府県及び市町村に住所を有する個人に対して課税する」こととなっています。

 ここでいう「住所を有する個人」とは、住民基本台帳法の適用を受ける者については“その都道府県の区域内の住民基本台帳に記録されている者”を言います。

 Q1のような矛盾を排除するためには『市区町村の住民基本台帳に記録されていない者であっても、その者がその市区町村に住所を有すると認定された場合には、その市区町村の住民基本台帳に記載されている者とみなし、個人住民税を課すことができる』こととなっています。

 この規定により、甲氏に対する個人住民税の課税を行うのは、住民票のあるB県b市ではなく、甲氏が実際に行政サービスを受けているA県a市となります。

 このような問題が生じるのは、甲氏が住民票を移動させていないからです。

 住民基本台帳法では、生活の拠点が移動したら、住民票が移動されていることを前提としています。
 
 住民基本台帳法22条では「転入したものは転入をした日から14日以内に次に掲げる事項を市区町村長に届けなければならない。1.氏名、2.住所、3.転入をした年月日、4.従前の住所、5.世帯主、6.転入前の住民票コード等」と規定しており、
 また同法53条では「正当な理由がなく届出をしない者は5万円以下の過料に処する」としています。 

  甲氏には、住民基本台帳法の制度を説明し、早急に住民票を移動することを勧めて下さい。


~生活の拠点と住所~


Q2.当社に勤める乙氏は、今までの当社の勤務地と遠隔なB県b市で家族と共に生活をしていましたが、このたび、当社の勤務地のA県a市にワンルームマンションを借りました。
 
 
 勤務日である平日はA県a市で暮らし、週末はB県b市の自宅で暮らしています。
 甲氏も乙氏と同様に、「子供の学校の都合で、住民票はB県b市に置いておくつもりです」とのこと。

 B氏に対する個人住民税についても、住民票のあるB県b市に課税権があり、給与支払報告書は、今まで通りB県b市に提出すればよろしいでしょうか?

 

A2.
乙氏については、仕事のために平日はA県a市のワンルームで暮らしているだけであり、生活の拠点は家族のいるB県b市であると考えられます。

 地方税法でも「勤務する事務所または事務所との関係上、家族と離れて居住している者の住所は、本人の日常生活関係、家族との連絡状況の実情を調査確認して認定するものであるが、確定困難なもので勤務日以外には、家族のもとにおいて生活を共にする者については、家族の居住地にあるものとする」としています。
 
 乙氏の場合は、住民票のあるB県b市に課税権があり、給与支払報告書もB県b市に提出します。

 

 また、「職業の関係上、家族の居住地を離れて転々と居を移している者または、職務の性質上年間において一定期間家族の居住地を離れて別に居住している者の住所は家族の居住地にあるものとして取り扱う。ただし、同一場所に1年以上居住している場合は本人の住所はその場所にあるものとして取り扱う」としています。(取扱通知(市)2章6(2))


 ちなみに・・・
 国民健康保険税は、個人住民税などを元に被保険者の住所地の市区町村が課税するので、個人住民税が正しい市区町村で課税されていないと、国民健康保険税も正しい市区町村で課税できなくなってしまいます。

 年末調整の際に提出していただく給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書の住所についてはご注意ください。