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税理士の佐藤です・・・競馬で大儲け!?無申告で懲役2か月!!

15.03.17
所長通信
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 競馬で3年間に30億円の配当を得た男性が、無申告で大阪国税局から5億7千万円を追徴課税されていた裁判で、

「はずれ馬券を必要経費に認めるのか?」と争われていましたが、3月10日に最高裁の判決が言い渡されました。
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 男性はこの裁判で、「30億1千万円」の配当に対して、「28億7千万円」の馬券を購入しており、利益は「1億4千万円」だと主張したのに対して、大阪国税局は当たり馬券の購入費用しか経費に認めないとして「29億円」を一時所得として認定しました。

 すなわち、男性は100円の馬券を10枚買って1000円の配当が出たので儲けはゼロと計算したのに対して、国税局は当たり馬券の100円だけを必要経費として認め、900円の儲けに対して課税し、はずれ馬券の購入費900円は無視して課税しました。

 国税局の計算は、一般市民には到底受け入れられない考え方かもしれませんが、競馬の配当金のような儲けは、所得税法では一時所得と言う所得区分で計算されます。

 

 一時所得の計算方法は、事業所得のように収入から必要経費を控除して儲けを計算するのとは違い、収入金額からその収入を得る為に、直接支出した金額を控除して計算することとされています。

  

 事業のように反復・継続して行なわれるものは、直接・間接的な必要経費を収入金額から控除できるのに対して、競馬の配当金のような単発的な儲けは、その都度の儲けを計算することになります。

 したがって、競馬の配当金から控除できるのは、そのレースの当たり馬券の購入費だけと言うことになります。

 しかしこの男性の場合、馬券購入ソフトを継続的に使用し、大量に馬券を購入していたことから、娯楽の範囲を超えており資産運用に当たるとして、一時所得ではなく「必要経費」としてはずれ馬券も認められると言う判断が下されました。

 その結果、5億7千万円の脱税額は5千2百万円に減らされ、懲役2か月執行猶予2年の実刑判決が言い渡されました。

 

 それにしても、競馬の高額払い戻しの際でも住所・氏名などを明らかにする必要はありません。

 電話やインターネットでの購入も、個人の情報を銀行が税務署に提示する義務などはありませんので、儲かっているかどうかは分かりません。

 
 では、何故男性の脱税がバレタのか?

 おそらく設けた大金で不動産や投資信託等の購入に充てていたのではないでしょうか。

 無申告で大金を手に入れれば、当然税務署は怪しく思います。

 内偵調査を行い、裁判命令さえ取り付ければ、銀行も情報を開示することになります。

 
 競馬ファンには、夢に水を差すお話になってしまいました。