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サインを見逃さない! 従業員の『心の不調』に気づくには

24.04.23
ビジネス【人的資源】
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従業員の『メンタルヘルス不調』は、大きな社会問題の一つです。
この不調を長期化させないためには、情報提供や相談対応といった事業者による早期のメンタルヘルスケアが重要になります。
しかし、メンタルヘルス不調の初期は周囲や本人も気づきにくく、いつの間にか悪化してしまうことも少なくありません。
そこで、普段から従業員の心身の状態に気を配り、メンタルヘルス不調に陥りそうな従業員の予兆をいち早く捉える努力が必要です。
従業員がメンタルヘルス不調に陥る原因や、初期症状で見られるサインなどを把握しておきましょう。
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メンタルヘルス不調で通常の就労が困難に

近年、仕事や職場に対して、強いストレスを感じているという労働者が増加傾向にあります。
厚生労働省が発表した2022年の『労働安全衛生調査(実態調査)』によれば、現在の職場や仕事に対して、強い不安や悩み、ストレスを抱えている労働者の割合は82.2%でした。
2021年の調査では53.3%だったことから、強い不安や悩みを抱える従業員が急増していることがわかります。

不安や悩み、ストレスなどは心理的な負荷となり、『メンタルヘルス不調』を引き起こします。
メンタルヘルス不調は、厚生労働省の『職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~』によって、「労働者の心身の健康、社会生活および生活の質に影響を与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く含むもの」と定義されています。
適切な対応をせず放置したままでいると症状が進行し、うつ病や適応障害、パニック障害といった精神疾患にまで悪化する可能性があります。

症状の悪化を防いで適切なケアを行うためにも、事業者は日頃から従業員の言動に気を配り、いち早くメンタルヘルス不調に気づかなければいけません。
そのためには、どういった言動や仕草、態度がメンタルヘルス不調のサインなのか、知識として理解しておく必要があります。

まず、わかりやすいメンタルヘルス不調の初期症状として、遅刻や早退、欠勤の増加があげられます。
不調をきたすと、心身ともに余裕がなくなり、通常の就労が困難になります。
1日だけの遅刻であれば、偶然かもしれませんが、遅刻が何日も続いたり、頻繁に無断欠勤したりする場合は、メンタルヘルス不調に陥っているかもしれません。
こうした異変は、従業員の日々の勤務時間や勤務状況を把握しておくことで、早期に発見できます。

また、メンタルヘルス不調に陥ると、仕事への意欲やパフォーマンスなどが明らかに低下します。
「仕事上のミスが増えた」「会議での発言が減った」「以前に比べて仕事をこなせていない」「残業時間が増えている」「仕事のスピードが遅くなった」「仕事中の離席が増えた」といったケースはメンタルヘルス不調を疑いましょう。

普段の会話や身だしなみ、体調などにも注意

メンタルヘルス不調の兆候は、職場における普段の言動や身だしなみにも表れることがあります。
たとえば、「あいさつをしない」「返事をしない」「報連相ができない」「服装や髪型が乱れる」「受け答えが曖昧」「独り言が増えた」「感情の起伏が激しい」などは不調のサインだといわれています。
しかし、普段の従業員の言動や服装を知らなければ、これらのサインに気づくことはできません。
予兆を見逃さないように、日頃から従業員と適切なコミュニケーションを取るように心がけましょう。

さらに、メンタルヘルス不調は、身体にもさまざまな影響を及ぼします。
「食欲がない」「夜、眠れない」「頭痛や肩こりが続く」「飲酒量が増えた」などの体調不良も予兆の一つです。
従業員からこうした体調に関する相談を受けた際は、ストレスチェックの実施や産業保健スタッフの介入、面談なども視野に入れ、必要な対応を行なっていきましょう。

メンタルヘルス不調に陥りやすいのは、真面目で責任感が強い人や完璧主義の人、気分転換が得意ではない人、周囲を気遣いすぎてしまう人などといわれています。
こうした本人の性格や気質などのほかにも、労働環境によってメンタルヘルス不調に陥ってしまうことがあります。

前述の『労働安全衛生調査』では、労働者の抱える不安や悩みやストレスの原因は、「仕事の量」が36.6%で最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」が35.9%、「仕事の質」が27.1%、「対人関係」が26.2%となっています。
事業者は従業員に無理な量の仕事を課していないか、過度な責任を負わせていないかといった観点からも、あらためてチェックを行い、場合によっては労働環境の改善も進めていきましょう。


※本記事の記載内容は、2024年4月現在の法令・情報等に基づいています。