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再開発や老朽化……もしも『立ち退き』を求められたら?

23.08.01
業種別【飲食業】
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飲食店を経営していると、国や自治体による公共事業や大家の都合などで、立ち退きを迫られることがあります。
もし、立ち退くことになった場合、店の移転費用はもちろん、設備費や内装費、貸店舗であればテナント料など、多額の出費を覚悟する必要があります。
何より移転によって、せっかく定着した顧客を手放すことにもなりかねません。
立ち退きは、状況によっては拒否することができます。
また、立ち退きを受け入れたとしても、通常は補償金として立ち退き料を請求することが可能です。
万が一、自分の店が立ち退きの対象になったときの対処法を説明します。
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公共事業による立ち退きの対象になったら

立ち退きは、みずから購入した店舗用の物件で経営している場合と、貸店舗で経営している場合で対応が異なります。
貸店舗でなければ大家から立ち退きを求められることはありませんが、道路の拡張や都市開発などの公共事業によって国や自治体から立ち退きを迫られる可能性はあります。
公共事業が理由の立ち退きの場合、代替地や金銭の補償はされる代わりに、立ち退きそのものを拒否することはできません。

大きな公共事業は、国や地方自治体などの事業者が店舗のある土地の所有者(地権者)と話し合いを行い、合意に至ることで任意の契約を交わし、その土地を取得することから始まります。
予定敷地内にある住宅や店舗などの権利者に立ち退きの要請が行われ、補償金や代替地などの提供へと話を進めていきます。
その際、たとえば地権者が話し合いの段階で補償金額に納得がいかず交渉が決裂したり、そもそも事業者との交渉に応じなかったりすると、事業者は『土地収用法』に基づく土地収用手続きと地権者への補償を行ったうえで、土地の『強制収用』という手段をとります。

原則、土地の強制収用は、地権者が拒否しても止めることはできません。
強制収用が行われても立ち退かない場合は、建物の取り壊しなどが行われます。
強制収用の場合も地権者への補償は行われますが、任意の契約に応じた場合と比べると補償金額が少なくなります。
そのため、立ち退きを拒否することもむずかしい状況となり、多くの地権者は話し合いの段階で合意に至っているというのが実情です。

話し合いは事業者が立ち退きの対象となる土地・建物の調査を行い、土地調書と物件調書を作成したうえで行われます。
この土地調書と物件調書は、補償金などを算出する資料になる可能性があるため、疑問点や不明点などがあれば、納得のいくまで話し合いましょう。

貸店舗の大家から立ち退きを求められたら

貸店舗やテナントでお店を経営している場合は、賃貸人である大家から立ち退きを迫られることがあります。

公共事業による立ち退きとは異なり、大家からの立ち退き請求は状況によって拒否できることがあります。
大家が立ち退きを迫る理由はさまざまで、たとえば建物の老朽化による建て替えのためや、大家自身がその物件を使うためなどの事情が考えられます。
しかし、どのような事情があったとしても、賃借人である入居者の合意を得ないまま立ち退かせることはできません。

貸店舗の契約には『借地借家法』という法律が適用されます。
借地借家法は賃借人を守るための法律で、賃貸人である大家が一方的に賃貸借契約を解除できないようになっています。
賃貸借契約を解除して立ち退かせるためには、正当な理由とこれを補完するための立ち退き料が必要になります。
建物の老朽化による建て替えだけの理由で立ち退きが認められることはなく、相応の立ち退き料を大家が提示し、賃借人がこれに合意した場合にのみ、賃貸借契約の解除が認められるというわけです。

立ち退き料は、店舗の立地やその店の売上などによって異なります。
条件に納得できなければ簡単には受け入れず、自身が納得いくまで大家と交渉することが大切です。
立ち退き料には、引っ越し費用や設備費、内装費などのほかに、立ち退きによって営業ができなくなる期間の損失分の額も含めるようにしましょう。

原則として賃貸借契約は賃借人が圧倒的に有利で、たとえ貸店舗の賃料を滞納していたとしても、1~2カ月程度の滞納であれば、賃貸人である大家は契約を勝手に解除できません。
ただし、あまりにも長期に渡って賃料を滞納していたり、重大な契約違反があったりした場合などは、大家が一方的に契約を解除できる場合もあります。
その際には、立ち退き料も支払われないので注意しましょう。

店舗の立ち退きはケースごとに対応が異なります。
もし当事者になった場合は、立ち退き問題を取り扱っている弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。


※本記事の記載内容は、2023年8月現在の法令・情報等に基づいています。