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社会福祉施設の労災が増加。介護事業所が行うべき対策とは⁉

22.10.04
業種別【介護業】
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通勤時や業務中、ケガや死亡に至る事故に遭った場合、労災と認定され、労災保険が給付されることがあります。
介護施設における労働災害が年々増えており、現場には事故防止のための対策が求められています。
今回は、近年における労働災害の状況と、介護施設が今すぐに取り組める事故の予防策などをお伝えします。
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社会福祉施設での労災が急増、効果的な対策が必須に

労働者の業務中や通勤途中でのケガ、病気、障害、死亡といった労働災害を受けた場合(以下、労働災害)、労災保険より一定の保険給付を受けることができます。
厚生労働省が2022年に発表した『令和3年労働災害発生状況』によると、全産業において2021年の1年間に労働災害により死亡または休業4日以上のケガをした労働者は14万9,918人にのぼり、前年と比べて14.3%増加しています。
これは平成10年以降の最多記録となっています。

同データでは、第三次産業における労働災害死傷者が前年比20.2%の増加と最も高くなっており、そのなかでも『社会福祉施設』における労災事故が前年比38.8%増という結果になっています。
さらに、社会福祉施設の労災死傷者数は、第13次労働災害防止計画で重点業種とされた2017年と比較すると9,683人の増加(110.8%増)となっており、この数年で急激に増加している業種であることがわかります。
社会福祉施設における労働災害の状況別に見てみると腰痛などの『動作の反動・無理な動作』による死傷者数が最も多く、全体の35.5%を占めています。
『転倒』の33.0%がその次に多く、『転倒』による事故の約半数が骨折などを伴う休業1カ月以上の大ケガが発生しているとのことです。

このような労働災害を防止するための新たな取り組みも始まっています。
厚生労働省は2022年度から、労働災害が増加傾向にある小売業や介護施設を対象に、その本社や法人本部主導による自主的な安全衛生管理を促進するため、各労働局内に協議会『+Safe(仮称:プラスセーフ)』を設置することを都道府県労働局長宛に通知しました
リーディングカンパニーや地方公共団体、関係団体などの構成員と連携しながら、取り組み目標の設定や労働災害の予防にかかわる啓発資料などの作成、構成員の安全衛生管理の好事例を紹介するなどの取り組みを行うとされています。

しかし、このような国の取り組みが各事業所に浸透するには一定の時間を要します。
まずは、各施設で労働災害防止のためにできることを再確認することが大切です。
特に転倒や動作の反動・無理な動作については、各事業所において今すぐにでも取り組めるさまざまな予防策があります。

たとえば『転倒』による労働災害防止策となる事例は、次のようなものがあげられます。

●段差をなくすため、スロープを設置する
●階段や出入り口に滑り止めマットを設置する
●手すりの設置箇所を再確認する
●浴室内の床や入り口を滑りにくい材質にする
●靴やスリッパ等を転倒予防のものに変える
●通路など導線上の整理整頓を徹底する
●居室内の電気コード等をまとめ、養生カバーをかける

続いて、『動作の反動・無理な動作』による労働災害防止策となる事例には、以下のようなものがあげられます。

●定期的な作業手順マニュアルの見直し
●ヒヤリハットなどの事例を用いた研修の実施
●福祉用具(リフト、安全ベルトなど)の活用等

以上のような各事業所内でのこまめな労働災害防止への取り組みの促進とともに、『+Safe』等による啓発活動が機能することで、より高い効果が期待できるのではないでしょうか。

どのような取り組みができそうか、現場の従業員と話し合ってみるとよいでしょう。


※本記事の記載内容は、2022年10月現在の法令・情報等に基づいています。