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契約書の意義とは? 契約書の記載事項を考えよう

22.09.13
ビジネス【企業法務】
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本来契約とは、合意がとれていれば契約書なしでも締結することができるものです。
一方、契約書を作成したり、書面にして捺印をしたりするには手間も時間もかかります。
ではなぜ、このように面倒な契約書の作成が必要なのでしょうか。
また、どういったケースだと契約書が必要なのでしょうか。
今回は、契約書とは何のためのもので、契約書を作成する必要がある契約とない契約は、どこが違うのかなどについて説明します。
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実は必須ではない契約書

「なぜ、契約をするときには、契約書が必要なのか」と考えたことがある方は少なくないでしょう。
契約を締結するために、本来、契約書(またはそれに類する合意書等)という形式はいらないのが法律上の原則です。
実際に、スーパーでの買い物や、電車やバス等の交通機関の利用、また美容院での散髪や、レストランでの食事などの際に、契約書を締結することはありません。
一方で、マンションの部屋を借りるときや、保険に加入する際、車や家を購入するとき等は契約書を締結することが多いでしょう。
このように契約締結時の契約書の要否は、契約の日常性や取引金額の大小、継続性、一般的な慣習に当てはまるかなどから総合的に判断されていると考えられます
そして、これは個人、法人問わず同じです。
では、なぜ作成しない場合には、細かい取り決めをしなくても、契約(合意)が成立するのでしょうか。

これは、民事法や取引慣習によって、お互いが合意しているとみなされるためです。
すなわち、毎日反復して行われるような単発の契約に関しては、契約書のような明示的な形式で契約を結ばなくとも、暗黙の了解(合意)ということで、契約が成立しているのです。
これに対し、契約書で契約を締結するケースでは、先に見た通り、非日常的な高額の取引や民事法に掲載されていないような変則的な取引等が該当します
このような場合、そもそも、本当に取引をする意思があるのかというところを確認しておく必要があります。
その際、意思のみでは、合意内容が不明確なため、契約書等を作成し合意の内容を明文化します。
これが、契約書を作成する意義と言えます。
このように見ていくと、契約書の作成が必要な場合において、契約書に記載をするべき事項が分かってくるのではないでしょうか。


契約書にすべてを書く必要はない

では、契約書には全ての合意内容を記載しなくてはならないのでしょうか?
たとえば家を買う際の契約書には、関連する民事法上の規定や取引の慣習等の内容をすべて書く必要があるのかどうか、といったことです。
その答えは不要です。
記載のない項目(条項)に関しては、対応する民事法の規定やもとからの取引慣習がある場合は、まず取引慣習が適用されることとなり、民事法上の規定や取引の慣習などの記載は不要となります。
これは、契約書なしで契約を締結している場合には、民事法の規定や取引慣習が適用されるのと同じ理屈です。
つまり、民事法の規定や取引慣習は一般的に両者が公平に扱われるように、別途契約書等で合意していないのであれば、民事法の規定や取引慣習を契約に適用するのが、当事者の意思解釈として妥当と考えられているのです。

このように見てくると、契約書をつくる際に「なぜそのことを、特別に書面に残す必要があるのか」と考えることで、記載をすべき内容が見えてきます。

(1)価格や契約の期間等の取引条件面は、契約書に落とし込まなければ両者の合意内容が不明瞭となる。したがって、必ず記載する。
(2)契約書に記載がないものについては、そのまま民事法や取引慣習が適用されることとなるため、これらに修正を加えたい場合も契約書に記載が必要となる。
(3)民事法で定められていない非典型契約や新しいタイプの取引に関しては、民事法や慣習に頼ることができないため、自分たちで詳細に条件を決める必要があり、当然、契約書に詳細な記載が必要になる。

このように、契約書を取り交わす目的やケースを理解していると、契約書の要否や記載内容が分かってきます。
もっとも、今回触れた内容以外にも契約書に記載する内容はあります。
しかし、契約書を作成する意義を見失ってしまうと、不必要な記載が増えてしまい、分かりづらい契約書になってしまいます。
分かりやすく適切な契約書を作成するためには、常になぜ契約書を作成するのか心に留めておく必要があるでしょう。


※本記事の記載内容は、2022年9月現在の法令・情報等に基づいています。