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無償で資産を譲り受けた場合に会計処理が必要な『受贈益』とは

22.07.26
ビジネス【税務・会計】
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資金調達のために寄付型のクラウドファンディングを行った場合、支援者から受け取った支援金は『贈与』または『受贈益』として会計処理します。
同じく、他社から資産を譲り受けた場合も受贈益として処理することになります。
受贈益は、基本的には無償や低額で譲り受けた資産や金銭を対象としており、会計上は売上や経費とは別の『特別利益』に区分されます。
ただし、子会社から親会社への譲渡は受贈益の対象外になるなど、例外もあります。
今回は、会計処理のなかでも間違いやすい受贈益について、説明します。
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タダでも法人税が課せられる受贈益

近年、資金調達の方法として、ネット上で不特定多数の支援者からプロジェクト用の資金を募るクラウドファンディングが注目を集めています。
クラウドファンディングのメリットは、たとえば新商品開発のために支援者から資金を募るのであれば、「購入者数が想定しやすい」「商品のPRになる」「金融機関からの借り入れよりも手軽」などが考えられます

このクラウドファンディングには、支援者に商品を提供する『購入型』と、支援者に株式や分配金を配る『金融型』、そして、リターンのない『寄付型』が存在します。
これら3つは会計処理が異なります。
それぞれどのように処理するか、みていきましょう。

購入型は、通常の売買と同じように、支援者に提供する商品は『原価』、支援者から受け取った支援金は『売上』として会計処理します
ただし、購入型クラウドファンディングを行うのが法人の場合、注意が必要です。
法人では法人税の観点から、サービスや製品を「市場価格で売買すること」を原則とします。
また、金融型は『貸付金』と『借入金』で処理します。
では、寄付型はどのような処理になるのでしょうか。

寄付型は、支援する側とされる側が法人か個人かで会計処理が異なります
個人が個人から受け取った支援金は『贈与』で処理し、個人が法人から支援を受けた場合の支援金は『一時所得』になります。
支援される側が法人の場合、個人・法人どちらから支援を受けた場合も、会計では、どちらも『受贈益』として処理することになります。

受贈益とは、無償や低額で法人が資産を譲り受けた際に使用する収益勘定のことで、勘定科目では、特別利益に含まれます
特別利益は法人税の課税対象となるので、タダもしくはタダ同然に譲り受けた資産(資金)だったとしても、法人税が課せられることになります。


受贈益に該当する資産の譲渡

クラウドファンディングの場合は、支援が現金で行われるので、そのままの金額で計上することになります。
では、それ以外に土地や社用車などを無償で譲り受けた場合は、どのように処理すればよいのでしょうか。

たとえば、社長や役員が個人で所有している土地を自分の会社に無償で譲渡するケースがあります。
その際は、土地の時価を算出し、その金額が受贈益として処理されることになります。
もし低額で譲渡する場合は、譲渡した金額と時価の差額が受贈益となります。

このケースにおいては、土地や社用車などはもちろん、建造物や事業用設備、商品在庫なども該当します。
いわゆる、形がある『有形固定資産』のほか、株式や特許権、商標権などの形のない『無形固定資産』の譲渡も資産の譲渡に含まれます。
ただし、株式などとは異なり、看板やネオンサインなど、広告宣伝専用の資産はほかの用途に使用することができないため、受贈益には該当しません。

さらに、無償または低額の資産の譲渡があったとしても、子会社から親会社への譲渡など、両社が支配関係にある場合は益金不算入となります。
益金不算入とは、決算書上では益金として計上されるものの、税金計算上は法人税の課税対象となる利益には算入しない会計処理のことです。

ちなみに、資産を無償で譲り受けた場合、原則として消費税はかかりません。
ただし、低額でも金銭のやり取りが発生している場合は、その額に対して消費税が課税されます。
また、無償譲渡であっても、代物弁済や資産を交換した場合なども消費税が課税されるので注意が必要です。

受贈益は会計処理のなかでも間違えやすく、資産の時価を算出する手間もかかります。
もし、受贈益の対象となる資産を譲り受けた場合は、よく確認しながら会計処理を進めていきましょう。


※本記事の記載内容は、2022年7月現在の法令・情報等に基づいています。