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集患が期待できる『無痛治療』の導入とPRの注意点

22.02.01
業種別【歯科医業】
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近年、治療に痛みを伴わない『無痛治療』を導入している歯科医院が増えています。
子どもから大人まで、いわゆる“歯医者嫌い”の人は多く、その原因のほとんどは、治療時の痛みや不快感にあります。
痛みが少ない治療は、丁寧さや親切な対応と同じくらい大切で、患者から選ばれるための“セールスポイント”になります。
一方で、医療広告には厳しい規制がかけられており、誇大広告になる恐れがあるため、安易に“痛くない治療”と掲げることはできません。
そこで今回は、『無痛治療』の導入や打ち出し方について説明します。
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歯科医院の人気をあげる『無痛治療』

子供の頃に歯科医院で治療を受けたことがトラウマになり、歯科恐怖症になってしまう人がいます。
しかし、昔は痛いのが当たり前だった虫歯治療も、技術の進歩や機器の発達によって、かなり痛みを軽減できるようになりました。
無痛治療を導入しているクリニックも多く、痛みの少ない治療が当たり前となりつつあります。

虫歯治療において発生する痛みは、主に歯茎に麻酔針を刺すときの痛みと、歯を削る際の神経が刺激される痛みの2種類です。
この2つの痛みに対処する治療が、無痛治療と呼ばれています

麻酔針の痛みは、歯茎の表面に塗る表面麻酔や、極細の注射針を採用することで、かなり軽減できます。
また、加温器などで麻酔薬を温め、電動の麻酔器でゆっくりと針を刺すことも痛みの軽減に有効だといわれています。
歯を削る際には、マイクロスコープや歯科用レーザーなどを使用することで削る部分を最小限にでき、神経への刺激を最小限に抑えることが可能になります。
さらに、クリニックによっては、強い恐怖心や不安感を持つ患者に対して鎮静剤を点滴し、眠っているような状態で治療を行う『静脈内鎮静法』を採用しているところもあります。

これらは全て痛みを最小限に抑える治療方法であり、採用している病院・クリニックにとっては大きな“売り”になります。
患者が歯科を選ぶ理由には、家から近い、夜遅くまで営業しているなど、さまざまなものがあります。
そのなかでも“治療が痛くない”というのは、選ぶ際の大きな決め手なのです。


HP上で周知を図る際には表現に注意

無痛治療は集患の観点からも効果的な治療法ですが、一方で、広告を出す際には注意が必要です。
医療提供体制改革を目指す『改正医療法』では、医療広告に対して厳しいガイドラインが定められており、無痛治療という言葉はNG項目に該当します。
特に、不特定多数の人が目にするホームページなどで治療のメリットを公開する場合には、誇大表現にならないよう気をつけなければいけません

2018年6月に改正医療法が施行されたことで、それまで規制の対象ではなかった歯科医院のホームページも“広告”に含まれることになりました。
歯科などの医業の広告は、全て『医療広告ガイドライン』を守らなければならず、違反した場合は、中止命令や是正命令を受けることになります。
さらに、命令に従わない場合は、罰金刑や懲役刑を受ける可能性もあります。

厚生労働省が発表している医療広告ガイドラインのQ&Aでは、『無痛治療』について、『「痛くない治療」のような科学的根拠がなく虚偽広告や誇大広告のおそれがある表現は、広告できません』としています。
痛いと感じる度合は個々の感覚によるため、客観的な事実を証明できなければ、虚偽広告や誇大広告に抵触する可能性があり、表現として適切ではないという認識が必要です。
ホームページだけではなく、チラシやパンフレット、ポスターやDMなども広告とみなされるため、規制の対象になることを忘れないようにしましょう。

では、どのように『無痛治療』であることを患者にアピールしていけばいいのでしょうか。
まず、表面麻酔や極細の注射針の使用など、実際に行っている具体的な治療内容を記載することは問題ありません
そして、“痛みに配慮した治療を行っています”や、“できる限り痛みを感じさせないようにします”などの表現も制限を受けることはありません
あくまで痛くないと感じるのは患者側の体感であり、医師が患者の気持ちを代弁するような表現はルールに抵触するため注意しましょう。
また、患者自身がSNSやブログ、口コミサイトなどで「痛くなかった」と個人的に発信することも問題ありません。
拡散された評判が、結果的に無痛治療を連想させるとしても、個人の意思で発信された言葉には制限がかからないため、PRツールとして活用するのも一つの手といえます。

『無痛治療』は、集患の大きなアピールポイントです。
ただ、その周知の方法には気をつけなければいけません。
自院が看板やサイトで“痛くない治療”を掲げているのであれば、ガイドラインに抵触していないかあらためて確認しましょう。


※本記事の記載内容は、2022年2月現在の法令・情報等に基づいています。