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住宅を公正に評価する『住宅性能表示制度』のメリット・デメリット

22.02.01
業種別【建設業】
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住宅性能表示制度は、2000年の4月に施行された住宅品質確保法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づく住宅の評価制度で、住宅の性能をわかりやすく表示することを目的としています。
制度の創設直後は利用者が少なかったものの、近年は利用数が伸びています。
ユーザーにとっては、制度の利用によって住宅ローンの金利が優遇されたり、資産価値が向上したりといったメリットがありますが、住宅建設業者もさまざまな恩恵を受けることになります。
住宅性能表示制度の基礎知識と、評価を受けることのメリット・デメリットについて、説明します。
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制度を利用するユーザーと業者のメリット

住宅性能表示制度は、国土交通省に登録されている第三者機関の登録住宅性能評価機関が、新築と中古の住宅の性能に関して評価を行い、建設住宅性能評価書を交付して、その性能を証明する制度です。
評価自体は、講習を受けた登録住宅性能評価機関の評価員が客観的な視点で行ない、統一した基準に基づく公平な評価を下します。

住宅性能評価を取得している住宅は、性能に関して公的機関のお墨付きを与えられていることになります。
施主であるユーザーにとっては、安全性や居住性の高い住宅に安心して住めることがメリットになります。

また、金融機関によっては、住宅性能評価を取得した住宅に関して、住宅ローンの金利や地震保険料などの引き下げを行なうなどの優遇制度を設定していることもあります
さらに、住宅に関するトラブルが起きた場合は、各地の弁護士会からなる指定住宅紛争処理機関が対応してくれるのも、住宅性能表示制度の大きな特徴です。

そして、住宅性能表示制度はユーザー以外に、工務店やハウスメーカー、設計事務所などの住宅建設業者にもメリットがあります。
一般社団法人の住宅性能評価・表示協会が行った事業者へのアンケート調査では、住宅性能表示制度による住宅性能評価を受けてよかったこととして、「お客様(お施主様)に喜んでもらった」や「制度対応の仕様変更をすることで住宅の質が向上した」などの回答が上位に上がりました。
また、「設計担当者の技術が向上した」「現場検査により現場管理が徹底されたことで住宅の品質が向上した」など、事業における生産性や効率性の向上をメリットに感じていることもわかっています。
ほかにも、住宅性能評価を積極的に受けることによって、営業面の効果も期待できます。
現在、多くのハウスメーカーが公平性の高い住宅性能表示制度の採用をアピールして、集客につなげています。


設計段階と建設段階で評価が行われる

住宅性能評価は、原則的に施主の依頼によって行われます。
施主から住宅性能表示制度を利用したいという申し出を受けた工務店やハウスメーカーなど住宅建設業者は、設計図などを作成したうえで、指定住宅性能評価機関に申請を依頼し、建設した住宅の評価を受けることになります。

申請を受理した登録住宅性能評価機関は、まず、これから建てる住宅の図面を見て、その住宅の性能を評価します。
この評価を書面にまとめたものを『設計住宅性能評価書』といいます。

そして、建設工事に入ってからも、登録住宅性能評価機関から派遣された調査員の目視によって、計4回の評価が行われます。
図面の通りに建設が行われているかはもちろん、たとえば構造の安定(耐震性)や温熱環境(断熱性能)などの評価が行われ、その結果は『建設住宅性能評価書』にまとめられます。

つまり、住宅の性能は、建設前の設計住宅性能評価書と、建設中および建設後の建設住宅性能評価書の2つの書面によって証明されることになります。
評価は等級などで示されるため、住宅性能評価を受けた住宅であれば、誰でも簡単に良し悪しを判断することができます。
一方で、評価でよい等級を取得するためには、性能を向上させなければならず、耐震壁の導入や耐震金物の設置などで、建材費や施工費が上がってしまうことがあります。
また、住宅性能表示制度を利用する際も、相場として10万円~20万円ほどの事務的な費用がかかります。

さらに、これらの建築コストの増加以外に、ある程度、設計に制約がかかるというデメリットもあります。
耐震性を高めるためには、壁を増やしたり、柱や梁を太くしたりしなければならず、吹き抜けなどの設計が難しい場合があるからです。

必ずしも施主の希望通りの間取りにできないこともあるため、コストのことも含めて、あらかじめ制度を使用することのメリットとデメリットを施主に詳しく説明し、理解を得ておきましょう。


※本記事の記載内容は、2022年2月現在の法令・情報等に基づいています。