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『ウッドショック』、どんな影響がある? 今後の見通しは

21.11.30
業種別【建設業】
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『ウッドショック』とよばれる世界的な木材不足と価格の高騰が続いています。
アメリカ政府の低金利政策により、住宅建築需要が増加したことがそもそもの原因であるといわれており、木材の多くを輸入に頼っている日本の建設業界にも大きな影響を与えました。
外国産材は、国産材に比べても価格が安く、一方の国産材は生産者の高齢化などで簡単に増産できません。
そのため、ウッドショックも長引くのではないかといわれています。
今回は、建設業界にとって無視できないウッドショックとその影響について説明します。
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世界的に木材価格が高騰したウッドショック

ウッドショックの震源地は、アメリカであるといわれています。
同国では、新型コロナウイルス感染拡大の影響で住宅需要が落ち込んでいましたが、政府が景気対策として低金利政策を実施した結果、住宅建築需要が増加しました。

さらに、リモートワークが普及し、それまで職場の近くに住むことを優先していた人たちが、郊外に住宅を建てたり、家をリフォームしたりする流れが加速しました。

住宅建築の需要が大量に発生したことにより建築用木材の需要も増え、価格が高騰した結果、ウッドショックが起きたといわれています。

建築用木材を輸入に頼っている日本も、ウッドショックには大きな影響を受けました。
日本銀行が発表している企業物価指数では、日本における木材・木製品・林産物の価格が、2021年3月頃から急激な伸び率を示しています。
特に、2015年を100とした指数においては、21年9月の時点で、集成材が237.7、製材が236.7となっており、2倍以上の値上がりとなりました。
アメリカからの輸入価格は特に高騰が著しく、前年末比で2.75倍に達しています。
今後も上昇は続く見通しとなっており、上げ止まりの見通しは立っていません。


建設業界ではどのような影響があったか

建設業界では、当初の見積もりよりも着工時の木材価格が高くなったために、建築コストが上昇する事態が起きています。
発注者の再検討に時間がかかり、施工スケジュールが遅れることで、事業者側にも負担が押し寄せ、利益低下を招いています。
特に、木造平屋建てなどの木材を多く利用する建物や大規模な公共施設などの施工に影響が大きく、建材のほか足場や型枠用の木材も不足しています。
また、建築価格が高くなって、契約が不成立になる、資金繰りが悪くなるといったケースも多くあります。

一部のメーカーでは、国産の木材に置き換える動きも出てきていますが、国産材の価格も上昇傾向にあり、厳しい状況です。
農林水産省の木材流通量調査によれば、2021年10月のすぎ中丸太価格は前年同月比137.4%、ひのき中丸太は188.6%上昇しています。

これを受けて、国内では国産材の需要が高まっています。
国産材は以前から政府が活用を進めていました。
しかし、林業の高齢化や労働力不足、人件費の高さが課題となっており、機材も足りないなど、供給をすぐには増やしづらいのが現状です。

林野庁は国内産の木材供給を強化するため、通常の2倍の早さで育つ樹木を2023年度にも実用化すると発表していますが、今回のウッドショックに間に合わせることは不可能です。


ウッドショック、今後の見通しは

今回のウッドショックについて、長期化するという見方がある一方、アメリカでは木材先物の価格が急落し、木材価格も下降傾向にあります。
住宅建築の着工の遅れや、価格の高騰から、木材の買い控えが起き、需要と供給のバランスがもとに戻りつつあるのも、その要因の一つであると見られています。

ただ、中国の住宅需要の高まりや、輸入木材を運ぶコンテナ船の不足による輸送費の高止まりなど、ウッドショックをより深刻にしていた要素は、まだ残っています。

また、高騰した輸入木材はこれから日本に入ってくるため、アメリカではウッドショックが収束ムードだったとしても、日本では半年程度の時差が生じてしまいます。

建築コストを抑えるために設計変更を行うか、それとも上乗せ分のコストは自社が負担するのか。
ある程度は顧客に負担をお願いしたとしても、なかなか全額負担してほしいとは言い出しづらいものです。
会社ごとにさまざまな事情はあるかもしれませんが、海外の動向によって再び価格が大きく変動する可能性もあります。
業界や木材価格の動向をチェックしながら、自社に必要な対策を講じていきましょう。


※本記事の記載内容は、2021年11月現在の法令・情報等に基づいています。