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相続登記が義務化! 土地を国庫に帰属できる制度も

21.08.31
業種別【不動産業(登記)】
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所有者がわからなかったり、所有者がわかったとしても連絡がつかなかったりする土地のことを『所有者不明土地』といいます。
登記簿や課税台帳等の土地所有者がわかるデータベースが、相続の際にきちんと更新されていないことが主な原因であるため、対策として法整備が進められています。
そのなかの一つが、2024年をめどに施行される『相続登記の義務化』で、これは土地や建物の相続を知った日から3年以内に登記を行うことを義務づけるものです。
今回は、相続登記の義務化について説明します。
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増え続ける所有者不明土地

国土交通省によれば、日本全国の土地の所有者不明率は約2割、土地面積に直すと約410万haとなります。
九州の土地面積は368万haであることから考えても、これは相当大きな面積であるといわざるをえません。

所有者不明土地は、土地の相続時に遺族が相続登記を行わなかったり、所有者が所在不明になったりすることが原因で生まれ、今なお増加傾向にあります

現状の法制度では相続登記は任意とされているため、放置されることも多いのが現状です。
結果として、遺産分割をしないまま相続が繰り返されることにより土地の共有者が増え、共有者全員と連絡が取れなくなった末に、所有者不明土地となってしまうケースもあります。

土地を売却する際には所有者全員の同意が必要ですが、所有者不明土地の場合、相続人に連絡を取るには多大な手間やコストがかかりますし、そもそも連絡が取れない可能性もあります。
そうなると、公共事業や再開発の妨げになるばかりか、土地取引の機会を奪い、不動産の流動性が低くなるなどのデメリットが生じます。
所有者不明土地があることによる経済的な損失額は、約6兆円にもなるという試算も出ています。


所有者を明らかにするための法改正

所有者不明土地を減らしていくには、土地の所有者にきちんと登記をしてもらい、権利の所在を明らかにしておく必要があります。

そこで2021年4月には、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しとして、『民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法』が成立しました。

これにより、土地や建物を相続したことを知った日から3年以内に登記を行うことが、2024年をめどに義務化されました。
遺産分割で所有者になった場合には、分割の日から3年以内に登記を行わなければいけません。
もし、正当な理由なく3年以内に登記を行わなかった場合は、10万円以下の過料に処せられることになります。

また、登記後に転居などによって所有者の連絡先がわからなくなってしまうことがないように、所有者の氏名や住所に変更があった場合には、変更のあった日から2年以内に変更登記をすることも、2026年までに義務化される予定です。
これに違反した場合は5万円以下の過料に処せられます。


所有者不明土地の発生を防ぐための制度

土地を相続した際に、一定の条件を満たすことで国庫に帰属させることのできる制度(相続土地国庫帰属制度)も新設されます。

所有者は、負担になる可能性のある農地や山林などを手放したいときに、法務局に申請して、審査を経ることで国有地にすることができるのです。
ただし、建物がある土地や、境界線や所有権などの紛争を抱えている土地、道路などへの使用が予定されている政令で定められた土地などは、国庫に帰属させることはできません。
また、土地を手放してからも10年分に相当する管理費を国に支払う必要があります。

今回の改正により用意されたのは、相続登記の義務化、住所変更登記の義務化とあわせて、所有者不明土地の発生を予防するための制度です。
土地を所有し続けることと、手放すことのメリット・デメリットをよく考えたうえで、制度を利用するかどうかを選択しましょう。

これらの法改正は施行までに期間があります。
しかし、もし現状で相続登記が済んでいない土地があるのであれば、将来売却するときのためにも、今のうちから登記しておくほうがよいでしょう。


※本記事の記載内容は、2021年8月現在の法令・情報等に基づいています。