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落ち着いて対応すべし! 警察による職務質問の目的とその対処法

21.07.27
ビジネス【法律豆知識】
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職務質問とは、警察官職務執行法に基づいて警察官が特定の人を停止させて質問を行う任意の警察活動のことです。
職務質問をされても拒否することは可能ですが、現実的には難しい場合がほとんどです。
拒否すれば何かやましいことがあるのかと疑われる可能性がありますし、警察官も犯罪を予防するという職務のためにしていることなので、簡単には職務質問を終了してくれないでしょう。
今回は、警察による職務質問の意味と、万が一、質問されてしまった場合の対処法について説明します。
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職務質問はなんのためにするのか

『警察官職務執行法』(以下、警職法)は、警察官の職務にまつわる法律で、『個人の生命、身体及び財産の保護、犯罪の予防、公安の維持並びに他の法令の執行等の職権職務を忠実に遂行するために、必要な手段を定めること』を目的に定められています(警職法第1条)。

職務質問は、この警職法に基づいて行われる任意の警察活動です。
警職法の第2条1項では『警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる』としています。

つまり、職務質問は、犯罪の予防および鎮圧の目的で行われているわけです。

職務質問が行われる背景には、近所で事件があったり、犯罪の多発している地域であったりなど、相応の事情がある場合がほとんどです。
また、近隣住民からパトロールの依頼があった場合や、対象者が挙動不審であるなどの事由がある場合にも職務質問を行います。
このように地域性や個人の言動などが大きく影響するため、何度も職務質問を受けたことがあるという人もいれば、人生で一度も職務質問を受けたことがないという人も存在します。


職務質問には素直に応じたほうがよい

職務質問は、警察官が対象者を停止させ、「何をしていたのか」、「これから何をするのか」などの質問をするところから始まります。
このとき、職務質問に応じるかどうかはあくまで任意であり、対象者の判断に任せられます

ただし、職務質問を拒否する権利があるとはいえ、警察官からの制止を振り切ってその場を去るのは、推奨できない行動です。
たとえやましいことがなかったとしても、特に理由なくその場を去ろうとすれば、何か犯罪に関わっているのではと勘ぐられ、さらに厳しく追及されるおそれがあります。

また、最高裁判所では、強制にならない範囲で警察官の『有形力の行使』を認めています。
職務質問における有形力の行使とは、対象者の腕を掴む、肩に手をかけるなどの行為のことをいいます。
犯罪予防上、その職務質問にどの程度の必要性・緊急性があるかなども関わってくるため、個別のケースによって判断されるものではありますが、過去には車で去ろうとした対象者の車のカギを回してエンジンを止めた行為が、職務質問を行ううえで必要な有形力の行使だと認められたこともありました。

さらに、警職法第2条2項では、その場で職務質問をすることが『本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる』と定められているため、拒否を続けていると、交通の妨害になると判断されて、派出所や警察署に同行するよう説得されることもあります。

職務質問の拒否は違法行為ではありませんが、拒否したとしても有形力の行使などで引き止められてしまうことがほとんどです。
断る理由が特になければ、職務質問に応じてしまったほうが解放も早いですし、無駄な労力を割かずに済みます。

警察官に腕を掴まれたり、肩に手をかけられたりしても、振り払ったり、はねのけたりしてはいけません。
ましてや警察官の胸ぐらをつかんだり、蹴ったりすると公務執行妨害罪の現行犯として逮捕されてしまうので注意が必要です。
質問にはしっかりと答え、自身にかかっている疑念を晴らすのが得策といえるでしょう。

また、職務質問の際に、併せて所持品検査が行われることもあります
これも所持人の承諾を得て行うのが原則とされてはいるものの、必要性・緊急性がある場合には(個別事案にもよりますが)相当な限度で承諾のない所持品検査を実施することも判例上認められているため、断ったからといって簡単にはやめてもらえないことも多いでしょう。
無駄な問答を続けて時間を浪費したくない場合は、素直に応じてしまう方がよいという判断もあります。


素直に応じて早期解決を目指そう

以上のことから、職務質問は拒否をせずに応じることが一番であるといえます。
しかし、万が一、職務質問に応じたにも関わらず解放されなかったり、強引な職務質問を受けたりした場合には、その場で弁護士に電話をすることも可能です。
警察官に電話を止める権限はありません。
電話で弁護士に状況を説明し、アドバイスを仰ぐことで問題の解決を図ることができます。

突然、警察官にいろいろと質問をされたら、「何もしてないのに」と理不尽に感じたり、不安に思うことがあるでしょう。
しかし、警察官も市民の安全のために行っていることです。
そのことをよく理解し、事態を悪化させないよう、落ち着いて対応することが重要です。


※本記事の記載内容は、2021年7月現在の法令・情報等に基づいています。