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税理士の佐藤です。・・・決算は赤字なのに税金を払うの・・・?

13.04.15
所長通信
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「決算が赤字なら法人税は払わない」と言うのは中小企業の社長にとっての常識。
しかし、その常識は変わりつつあります。

税法会計の利益の計算は、そもそも別の法律で規定されています。
今、中小企業の会計も方向転換が図られつつあり、国は中小企業向けの会計のガイドラインである「中小会計要領」の普及に力を入れています。

 

 

税法上(申告書)の利益と会計(決算書)の利益の計算方法は、それぞれ別の法律で規定されています。
決算では会計(決算書)で計算したに利益に加算減算調整をして、税法上(申告書)の利益を計算します。

昭和の時代は、税法会計はあまり格差が出ないよう、お互いが寄り添うように調整がなされてきました。
ところが平成の時代に入り、経済が国際化すると、会計基準は上場企業に合わせ、どんどんと国際会計基準に引っ張られていくようになり(外国人株主が増えるので当然です)、国内の税法とは距離ができるようになっていきました。

 ところが、外国人株主などいない中小企業は、国際会計基準に振り回される訳にもいかず、独自の税法基準で会計処理をしているのが現状でした。

税法基準で処理していれば、税務上の問題は無く、決算時の調整は少なくて済みますが、あくまでも税金を計算することに主眼を置いている基準のため、企業の経営状況が正しく反映されず、金融機関の判断や社長自身の経営判断を誤らせる結果になる、という欠点があります。

そこで昨年登場したのが、中小企業の実態に合った会計基準である「中小会計要領」です。
意外に思われるかもしれませんが、中小企業の身の丈に合った会計基準は、長い間存在していなかったのです。

国は今この「中小会計要領」の普及に力を入れています。

しかし一方で、こんなことも考えられるようになります。
 
例えば、実質的に回収できない債権が、
中小会計要領」の基準で「貸倒損失に計上しなければならない」となった場合でも、
税法上では相当に厳しい要件をクリアしないと、「貸倒損失に計上することができない」
といったことが起きる可能性があります。

つまり、1000万円の不良債権があった時に、
中小会計要領」で決算をすると500万円の赤字。
しかし税法上は損失の計上が認められず、
税金の計算上は500万円の黒字で、その結果200万円の税金が発生。

「社長、今期は500万円の赤字ですが、税金は200万円です」という、今までの社長の常識では考えられなかった報告をしなければならないということが、これからは起きてくる可能性があるのです。