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『ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)』の利点とアップ手法

20.10.27
ビジネス【マーケティング】
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一人の顧客から得られる生涯に渡っての利益・金額の合計を『ライフタイムバリュー(Lifetime Value)』といい、日本語では『顧客生涯価値』と訳されます。
この、顧客から得られる利益を試算し、長期的な視野で収益や顧客の価値をとらえるライフタイムバリューによって、新規顧客の獲得にばかり投資するのではなく、既存顧客を大切にすることも重要だと分かってきました。
今回は、ライフタイムバリューの利点や、アップさせるための施策について解説します。
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新規顧客よりも既存顧客重視にする利点とは

『ライフタイムバリュー』とは、一人の顧客がある商品やサービスに対して、生涯に支払う合計金額のことで、顧客をデータベースで管理するようになった1990年代に注目された概念です。
今では顧客一人ひとりの総合的な価値を考えるうえで、欠かすことのできないマーケティングの指標になりつつあります。
これまでも成長途中の市場であれば、とにかく新規顧客をターゲットに魅力的な商品を次々と開発するだけで、売上を伸ばすことができました。
しかし、成熟した市場においては、新たな需要はそれほど増やせないため、新規顧客の獲得と同様に、既存顧客の維持も重要になってきます。
そこで役に立つのが、既存顧客から断続的に得られる利益を表すライフタイムバリューの考え方なのです。

ライフタイムバリューを求めるための計算式は複数ありますが、一般的には次のような計算式で、顧客の『ライフタイムバリュー』を算出します。

【ライフタイムバリュー=平均購入単価×収益率×購買頻度×継続期間】

また、成長が止まり、コモディティ化が進んだ市場においては、新規顧客の獲得にかかるコストが、既存顧客の維持にかかるコストを大幅に超えることがわかってきました。
市場によっては、新規顧客獲得のコストが既存顧客維持のコストの5倍以上にもなることがあるそうです。
つまり、停滞している市場においては、新規顧客獲得よりも、既存顧客の維持が重要になってくるというわけです。

低成長時代には、企業は、これまでのような新規顧客を獲得するためのプロモーションだけではなく、古くからのお得意様を大事にする施策を打ち出していく必要があるといえるでしょう。


『ライフタイムバリュー』を上げる3つの方法
 
一人の常連客にできるだけ長い間、自社の商品を買ってもらうにはどうしたらよいのか。
マーケティング担当者には、このような断続的なビジネス展開を見通す視点が求められるようになってきました。

では、具体的に『ライフタイムバリュー』をアップしていく方法を考えてみましょう。
代表的なものとして、『購買単価のアップ』『購買頻度の促進』『顧客維持率のアップ』などがあります。

まず、『購買単価のアップ』は、単純に商品の価格を上げて、一人の顧客が購入する金額をアップさせるという方法です。
もちろん、単純な値上げは客離れを招く可能性がありますし、顧客が他社に流れてしまうケースも少なくありません。
そうならないためにも、自社商品の値上げに正当な理由を設定し、なんらかの方法で既存顧客に周知する必要があります。
もし、顧客が納得してくれるような理由があるならば、多少の値上げでも顧客は離れていかないはずです。

また、『購買頻度の促進』は、顧客が自社商品を購入する回数を増やすための施策を打つことです。
単純に、年に1回購買してもらっていたものが、年に2回になれば、その顧客の『ライフタイムバリュー』は2倍になります。
具体的な施策としては、商品のバリエーション展開や、買い替えの促進PR、利用機会の拡大など、さまざまなものが考えられます。
自社の商品に合わせた施策で、顧客の購入頻度を高めていきましょう。

さらに、『顧客維持率のアップ』は、その名の通り、顧客を維持するための施策を打ち、離れていかないようにして『ライフタイムバリュー』を上げていく方法です。
たとえ、1年に1回、1万円しか使わない顧客でも、それが10年続けば10万円に、30年続けば30万円の利益になります。
つまり、どれだけ顧客を長い期間、自社や商品のファンにしておくことができるかが、『顧客維持率のアップ』を図る施策の肝となります。
定期的にダイレクトメールを送ったり、常連だけのサービスやキャンペーン施策を打ったりなど、『顧客維持率のアップ』にはさまざまな方法が考えられます。

顧客の購買単価を上げ、購買回数を増やし、長年利用してもらう。
そんな理想的な関係を顧客と築くためにも、経営戦略において『ライフタイムバリュー』は、常に意識しておく必要があるでしょう。


※本記事の記載内容は、2020年10月現在の法令・情報等に基づいています。