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サロンと並行して、需要が高まる訪問美容へ着手する方法

20.05.07
業種別【美容業】
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高齢者や疾病のある人など、外出が困難な人を主なターゲットにした『訪問美容』が、年々需要を伸ばしています。
事業としてサロンワークと訪問美容の両方を運営したいと考えているオーナーにとって、今は着手すべきタイミングといえるでしょう。
今回は、スタートアップで力を入れるべきポイントと、軌道に乗るまでのステップを見ていきます。
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訪問とサロンの両方を継続できる環境づくり

現在営業中のサロンと、新たにスタートする訪問美容とでは、スタッフの働く形態も運営の目的も異なります。
そのため長く続けていくには、同じ戦略ではなくそれぞれに見合った方針を立てていくことが大切です。

失敗しないために第一に考えたいのは、スタッフの確保と配置です。
まずはスタッフにサロンワークと訪問美容、両方を『兼任』してもらうのか、それぞれに『専任』スタッフを配置するのかを決めましょう。
兼任か専任か、その働き方によってマネジメント方法も変わってくるからです。
また、兼任の場合と専任の場合のメリット・デメリットを把握し、サロン全体の人数やスタッフの年齢層、技術レベルなどを考慮した判断も成功を左右します。

たとえば兼任の場合は、店舗での予約が少ない曜日や時間を訪問美容に充てることで、勤務時間内のスタッフの稼働率をあげられます。
訪問美容ならではのカウンセリングのコツや対応力をサロンワークにも生かせるというメリットがある一方、シフトの管理や調整が複雑というデメリットも出てきます。
店舗の定休日や繁忙期には、時間と人手が不足し、訪問自体ができなくなってしまうこともあるかもしれません。

専任の場合は、資格を保有しつつも美容師として従業していない休眠美容師や、勤務時間に制限のあるママ美容師をパートとして雇うことで、働きたい美容師に復職のきっかけを作ることができます。
また、スタッフの知識や就業形態を統一することで専門性が高まり、訪問美容に特化したサロンを経営することもできるでしょう。

サロンワークと訪問美容の両方を運営したい場合には、業務を二分することで、それぞれの売上確保もマスト条件になります。
訪問先では専任スタッフの技術指導がむずかしいため、定期的にスタッフの技術や接客をチェックしたり、訪問先へ行き仕上がりを確認したりすることなどが必要となってきます。
継続するには、サロンスタッフの将来設計や目標に合わせて兼任と専任のうち、どちらの方針が合っているのかを見極めていくことが重要です。


“顧客満足度”を高める特有の知識とスキル

方針やサービス内容、施術価格、宣伝方法や契約事項の決定など、基本的なステップを乗り越えたあと、最も注力したいのがスタッフ教育です。
美容学校で習得した経験は当然必要ですが、訪問美容はお客の体調や施術環境も毎回違うため、素早い行動と適切な判断力が求められます。
高齢者の多い施設や医療現場を訪問する際には、安全管理と感染症予防策を徹底しなければなりません。

一般的に訪問美容は、スタイリスト歴5年以上のスキルを持つことが望ましいといわれていますが、さらに特別な知識や技術が必要になります。
認知症患者の髪をカットする場合には、車いすの扱い方や、お客が緊張せずに座っていられるようなコミュニケーションなど、学んでおくべきことも多くなります。
これらのスキルを高めるために、サロンで研修会を開いたり、スタッフにセミナーへの参加を促したりするのもよいでしょう。
寝たきりの人の洗髪や、車いすに座りながらの施術、視聴覚に障がいのある人の髪を切る際にケアすべきポイントなど安全管理の面で熟知しておかねばならないことも出てきます。
訪問美容特有の知識とスキルが、依頼する側の評価を左右することを忘れてはいけません。


丁寧な話し方、清潔感ある身だしなみ

訪問美容の現場では、当人だけでなく、その家族や介護人との信頼関係を築くことも大切です。
オシャレに対する意識が高いとされる70~80代の高齢者が対象の場合、つい「おばあちゃん」「おじいちゃん」と親しみを込めて呼びかけてしまいます。

しかし、訪問美容では『個別化』が原則のため、「~さん」と名前で呼ばなければなりません。
一貫して敬語であることはもちろん、『クッション言葉』(恐れ入りますが、などの会話の最初につけて印象を柔らかくする言葉)や『ほめ言葉』も積極的に取り入れながらコミュニケーションを図ります。
たとえば、頭の角度を少し変えてもらう際にも「恐れ入りますが」など一言添えて、丁寧に進めていきます。
気分良く満足してもらうために、施術後には「印象が明るくステキになりました」などの、適度なほめ言葉も添えましょう。

また、派手な服装やアクセサリーを避け、清潔感ある身だしなみを心がけましょう。
声のトーンや話す速さ、会話する際の表情ひとつにも気を配り、安心かつ気持ち良くサービスを受けてもらうための工夫を怠らないことも重要です。

サロン経営をしている事業者が、新たなサービスとして訪問美容を始めるために必要な期間は、平均で約3カ月といわれています。
経営方針を固め、スタッフの確保、教育、衛生管理を徹底し、事業を拡大させてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2020年5月現在の法令・情報等に基づいています。