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警察犬になったトイプードルの「アンズ」・・・佐藤です。

19.12.17
職員通信2
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警察犬と言うと、シェパードやドーベルマン、ラブラドール・レトリバー等、大型犬がほとんどです。
日本で警察犬として認められている犬種は、他にエアデール・テリア、ボクサー、コリー、ゴールデン・レトリバーと7種類でしたが、2015年に変更があり、規定の訓練資格を取っていれば、小型犬でも受験できる事になりました。 
そんな小型犬の中でも、愛玩犬として改良されてきたトイプードルが、厳しい訓練を経て、見事試験に合格したのでした。

でも事件現場にトイプードルを連れて行ったら、「犬、間違えていません?」と言われそうですよね。(笑)

ところが、小型犬も意外に期待されているようです。
例えば、
・鼻の位置が低い為、大型犬が見逃すかもしれない小さなものも、発見できる可能性がある。
・ショッピングモールや駅・電車の中等人がたくさんいる場所での活動には、小型犬のほうが使いやすい。
・人混みの中で事件が起きた場合、シェパードが出動するとものものしくて、犯人に気付かれてしまいそうですが、小型犬だと普通に散歩させているように見えて警戒されない。
・大型犬が入れない狭い場所にも入っていける。

ただ、シェパードが一晩中歩き回っても平気なのに対して、「アンズ」はその数分の一しか歩けないと言う持久力の問題があり、今できるだけ歩かせるようにしているようです。
ちなみに警察犬は試験に合格した後も、現役であるうちは一日たりとも休まず訓練し、出動要請があった時にいつでも動けるよう準備しておかなければなりません。
しかも任期は一年、警察犬としての活動を続けるには、毎年厳しい試験に合格しなければならないのです。
ですから、警察犬の平均寿命は10年程、のんびりと暮らしている犬より、短いようです。

では、何故「アンズ」が警察犬になったのか、

「アンズ」は生後3か月の時、殺処分寸前に、茨城県の警察犬を訓練する指導士の鈴木さんという人に助けられました。
鈴木さんは家に連れて帰り、始めは一時的に預かるだけで、良い飼い主を探すつもりでいたようです。

ところが、「アンズ」は元の飼い主の所で虐待を受けていたようで、特に女性、試しに奥さんが「アンズ」に向かって拳をあげてみると、悲鳴を上げてお腹を出し、服従を示してきたとのこと。
そこで人混みに連れ出したり、お隣さんにも抱っこの協力をしてもらったり、また優しい奥さんや三頭のシェパード達に受け入れられて暮らすうちに、大分落ち着いてきましたが、トラウマは簡単には消えるものではありません。

そんな可哀想な子犬を、また新たな環境に送り出すのは忍びないと、そのまま家族の一員として迎えられ、この時初めて「アンズ」と名前を付けてもらいました。

ですから、鈴木さんも始めから警察犬にしようと思ったのではなく、(その時は試験さえ受けられない犬種でした)シェパード達の訓練にいつも連れて行っただけでした。
それがいつの間にか「やらせて、やらせて」と激しくて吠えて、「アンズ」から訓練をやりたがるようになり、シェパードのまねをする事から始まりました。

実際に「アンズ」の訓練は大変で、ある時草むらの中での訓練中に、兎と間違えられオオタカに襲われそうになった事もあるほど、シェパードとの体格差があることや、
服従はもちろん出動中はパトカーの赤色灯や沢山の人に興奮したり、ちょっとしたことにも驚いて吠えたりしないようにするなど、本当に様々な訓練があります。

鈴木さんも根気よく訓練し、「アンズ」も根性があったのでしょう。
シェパード達でも難しい試験の数々をクリアして見事合格し、鈴木さんに助けられてから2年10ヵ月、ついに警察犬に任命されたのでした。
そして、始めは見習いでシェパードの出動の時についてゆき、他の新米警察犬が興奮気味な中、シェパードの作業をじっと見ていたようです。
明らかに以前の「アンズ」とは違ったと鈴木さんは言います。

私は「アンズ」から、か弱く可愛いだけの犬と思っていたトイプードルが、実は賢くて頑張り屋さんだという事を知りました。(トイプードルは意外と運動神経が良かったそうです。)
また、何事も頑張れば出来るかもしれないという勇気も貰いました。

この後に発行されている本で「アンズ」の活躍を読みたいと思います。

「警察犬になったアンズ」より