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ホワイトカラーの生産性とは?

14.08.15
ビジネス【人的資源】
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東日本大震災が起こった2011年3月11日、
茨城県の住友金属鹿島製鉄所は
津波こそ受けなかったものの
莫大な被害を蒙りました。

高炉作業は停止しましたが、
会社は付属の火力発電所は復興可能と見て、
復旧に全力を尽くしました。

というのは、当時、東京電力の発電機能が動かず、
管内の電力供給は危機的な状況だったのです。
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企業成長のための人的資源熟考

鹿島製鉄所は、すぐに現存の人材のみならず、
関係会社や全国のOBにまで声をかけて
必要な人材を集め、不眠不休の作業をしました。
伝統ある住友金属ならではです。
そして、3月11日に停止した火力発電所を
3月26日に再開させたのです。

その能力は47万5千キロワット。
茨城県全世帯の電力需要を賄う規模で、
すべて東京電力に供給されました。
この、全社一丸となった作業こそ、
日本企業が目指す究極の生産性だったでしょう。
ここには、ホワイトカラーもブルーカラーもありません。

日本の企業の業績が世界的に認められたのは、
1980年代の日本的経営ブームの時代でした。

その後も日本の製造業の生産性は延びたものの、
経済全体の生産性は国際的に遅れをとりました。

つまり、そのほかの部門が足を引っ張って、
日本企業の競争力を世界の10位以下に押し下げています。

それゆえに、ホワイトカラーの生産性といっても直接測っているものでなく、
全体から優秀であるはずのブルーカラーの生産性をのぞくと
ホワイトカラーの生産性は低いはずだというのです。

けれども、ホワイトカラーの生産性といっても、
決められた時間を律儀に働くホワイトカラーは、新しい時代のシンボルではありません。

21世紀の企業社会をリードするのは、知的能力を備えた革新的人材が必要。
この人たちを呼ぶなら「ゴールドカラー」です。
つまり、組織や時間にしばられず、個性や革新力を発揮する人たちです。

日本のモノづくり人材は、あくまでブルーカラーでありホワイトカラーです。
作るべきは、モノではなくモノを利用する仕掛けです。
つまり、精密な製品よりシステムをつくることが重要で、
このような仕事に携わる人材をゴールドカラーといいます。


次回の「企業成長のための人的資源熟考」は
「生産性を上げるためにどうすればいい?」をお届けします。


[プロフィール]
佐野 陽子(さの・ようこ)
慶應義塾大学名誉教授。1972年慶應義塾大学商学部教授。87年から2年間、日本労務学会代表理事。89年から2年間、慶應義塾大学商学部長・大学院商学研究科委員長。96年東京国際大学商学部教授。2001年から4年間、嘉悦大学学長・経営経済学部教授。主な著書:『はじめての人的資源マネジメント』『企業内労働市場』(ともに有斐閣)。

[記事提供]

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