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マーケティング論の基本中の基本「4P理論」を、ここで改めて勉強しましょう。③ 

17.09.01
ビジネス【マーケティング】
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前々回から、マーケティング論の中で最も有名な理論のひとつである「4P理論(Product・Place・Promotion・Priceの4つを指す)」について、沼上幹氏の『わかりやすいマーケティング戦略』(有斐閣アルマ、2008)に沿ってご紹介をしています。 

前回はProductの「補助的サービス」とPlaceについて解説しましたが、今回はPromotionについてお話ししたいと思います。
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広告代理店では「Promotion=SP(Sales Promotion)」と考えられており、“Promotion”は主に「広告以外」のイベントやプレゼントキャンペーンなどを指します。 

これに対して「4P理論」では“Promotion”の中に「広告」も含まれます。ここが少しややこしいところです。 

“Promotion”は4つに分類されます。それぞれ詳しくみていきましょう。 


①広告・宣伝 
テレビCMや新聞広告、雑誌広告、インターネット上のバナー広告などのマスメディアを通じて企業からメッセージを伝える手法です。 

放送局や出版社といったメディアに対して対価を支払う必要があります。 

この方法のメリットは、幅広い範囲や客層に情報を伝達できることです。 

デメリットとしては、企業から消費者への一方的な情報伝達なので、顧客が疑問や不満に思っていることにケースバイケースで対応することができないことがあげられます。 

さらに何といっても、費用が高くなるという点です。案件によっては莫大な資金が必要となることもあるでしょう。 


②販売員活動 
販売員活動は、直積的な方法なので狭い範囲にしか情報を伝えられませんが、顧客との相互作用を行うことができるというメリットがあります。 

今や、販売員は、単にモノを売っているのではなく、企業と顧客との情報のやり取りを担っていると考えるべきです。販売員の行動が、その企業全体のイメージに関わっているともいえるでしょう。 


③広報活動 
メディアに対価を支払うことなく、テレビやラジオ、新聞、雑誌などの媒体に自社の情報や製品を取り上げてもらうことを指します。 

製品にその企業ならではの特徴があると、この手法を活用できます。マスコミにとって報道する価値があるかが重要なのです。 

広報活動には大きく2つのメリットがあります。 

まず、①の広告・宣伝に比べると莫大な費用が低いということ。もうひとつは、第三者であるマスコミが伝えてくれることによって情報の信憑性が高くなる点があげられます。 

この点においては“クチコミ”も、広報活動と似ている側面を持っていると考えられます。 

なぜならクチコミも、企業が直接費用を支払うわけではありませんし、情報を受け取る側にとって高い信憑性を持っているからです。 

一方で、自社製品にとって好ましくない情報であっても、企業側はクチコミを抑えることが難しいというデメリットも合わせて持っています。 


④販売促進 
狭い意味での販売促進活動を指します。 

試供品(サンプル)の提供や景品付きのセール、クイズやアンケートによる景品プレゼントなど、多様な施策が含まれます。 



これら4つの異なる施策を、ほかの3つの“P”とのバランスをとったり、相乗効果を狙ったりしながら、効果的に活用して行くことがPromotion施策には求められます。 
  
次回は、4つ目の“Price”を中心に、4P理論を掘り下げたいと思います。


佐藤達郎のマーケティング論 


●プロフィール● 
佐藤達郎(さとう・たつろう) 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。