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数字のマジックに惑わされない~貨幣錯覚~ポイント還元と値引きどっちがお得?・・・藤田です。

17.08.09
職員通信1
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◆その昇給は本当に得ですか?

昇給は誰でもうれしいもの。

そんな時に上がったお金の意味まで考える人は、本当の意味で賢い人です。
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仮に、給料が500万円から501万円に上がったとします。上昇率は0.2%です。
その間に物価が1%上がったとしましょう。
昇給で手に入れた「1万円」に目が行きがちです。
豊かになったと勘違いし、増えた分を使ってしまい、知らず知らずのうちに貴重なお金を減らしてしまうのです。


ここでの1万円で本当に大切なのは、数字で表された金額(これを「名目値」といいます)ではなく、実際にその1万円でどれだけのものが買えるか(これを「実質価値」といいます)なのです。

こんな風に考えれば、誰もが納得して無駄遣いを避けるのでしょうが、実際の場面では多くの人が名目値だけで行動してしまいます。
これが「貨幣錯覚」です。


このように、人間は金額などの数字をみせられると、その影響を強く受けます。

行動経済学ではこれを「フレーミング効果」と呼びます。
同じ内容の質問や選択でも、どこに焦点を当てるか、どのように提示されたかによって判断が異なってしまう心理的バイアスです。

◆値引きとポイント、得はどっち?

お金以外にも、フレーミング効果の影響を受けて判断を誤ることはあります。

ここでは「ポイント」の事例を紹介しましょう。


例えば、あなたが1万円でDVDプレイヤーを買ったとします。ポイント還元率は10%だったとしましょう。
たまるポイントを計算すると1000円です。おそらくあなたの頭の中には、「10%」という数字が残ります。
「10%得した」と記憶するかもしれません。


では、次にポイントをもらわず「10%値引き」で1万円のDVDプレイヤーを買ったと考えてみましょう。
この場合にあなたは1万円の品物を9000円支払って手に入れることになります。
この時も「10%」という数字が記憶に残ることでしょう。


ここで改めて2つのパターンの買い物を「値引き率」という共通の尺度で比較してみます。
1万円でDVDプレイヤーを買ったあなたは、後日ポイントで1000円分の品物を手に入れます。
結果的に1万円支払って合計1万1000円分の買い物をし、1000円の値引きを受けたことになります。
値引き率を計算すると、1000÷11000=0.0909…で、約9.1%の値引き率です。

2つのパターンのどちらも、同じく10%という数字が印象付けられますが、実質的に得をするのは「ポイント」ではなく、「値引き」の方でした。
「ポイント還元率」と「値引き率」の違いでなく、「10%」という数字に注目すると、判断を誤ってしまうのです。

◆惑わされない判断をするために

ここで挙げた例を見ると、給料の額、ポイントや値引きのパーセンテージなど、目立つ数字が誤りを生むことがわかります。

したがって、数字の意味や実質価値を考えることは大事なのです。
ただし、すべての数字を深読みするのは、それこそ実質的に無理でしょう。
大事なことは数字の持つ明快さに惑わされないことです。


一見疑う余地がないからこそ、マジックが成立することを、記憶しておきたいものです。