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日本紙幣の父……長沼です。

24.08.08
職員通信1
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7月より新デザインの千円札・五千円札・一万円札が発行されました。

日本で洋式紙幣が使われだしたのは明治時代です。
元々はドイツやアメリカに紙幣の製造を依頼していましたが、紙幣を外注しているとコストがかかりますし偽造のリスクも高くなります。また信用不安などの問題も出てきたため、自国での紙幣発行を目指す運びとなりました。
その結果、明治10年に国産第1号の洋式紙幣として「国立銀行紙幣(新券)」が発行されます。
新券の製造にあたっては、お雇い外国人を招聘して技術やノウハウを取り入れました。

日本紙幣の父として有名なのがお雇い外国人として来日したエドアルド・キヨッソーネです。
彼はイタリアの印刷業を営む一家に生まれ、14歳から美術学校で銅版画の彫刻技術を学び、22歳で卒業した後は銅版画家として活動します。そののち紙幣作りに関心を持ち、イタリア王国国立銀行に就職しました。そして同国の紙幣を製造していたドイツの印刷会社に出向することになります。出向先の印刷会社では、日本の明治政府が発注した政府紙幣:明治通宝を製造しており、キヨッソーネもこれの製造に関わっていたそうです。

キヨッソーネが来日したのは明治8年。
大隈重信が提示した破格の給与待遇のほか、進歩した写真技術に圧されがちだった銅版画技術を活かせる場を求めて招聘に応じたともいわれています。来日後は大蔵省紙幣局にて指導にあたり、日本の紙幣・切手印刷の基礎を築きました。また本格的な銅版技術を伝授したことで、安定した品質での大量印刷を可能にしています。
キヨッソーネは雇用期間が終わったのちも日本に留まり、1898年麹町の自宅で逝去、青山霊園に葬られました。

現在では紙質や印刷技術のさらなる向上により、偽造防止やユニバーサルデザインなど優れたお札が発行されています。新紙幣にも3Dホログラムなど新たな工夫が盛りだくさんなので、ぜひ一度じっくり観察してみてはいかがでしょうか。