令和6年税制改正について……長沼です。
令和6年税制改正大綱により、事務的な手続きが煩雑だった電帳法やインボイス制度について、多少負担が緩和された点が出てきました。
まずは電帳法から。
こちらはもともと、「電子(PDF等)のかたちで貰った請求書等については電子データを原本とし、データのまま保存する」という概要のルールでした。Amazonをはじめとする通販サイトで購入したものの証憑は、請求書をダウンロードして、尚且つ取引先や金額で検索できる状態で保存しておくことが要件で、事務的には大きな負担がありました。
こちらが今回改正され、「通販サイトのマイページなどで検索要件を満たし、かつ過去分まで遡及して確認ができるのならダウンロード不要」という見解が追加されました(国税庁「お問合せの多い質問」Ⅰ-追2)。
税務上は最長10年証憑書類の保存が義務付けられているため、過去10年遡及して閲覧できるサイトであれば、税務署からの要望に応じてダウンロードができれば大丈夫、ということになります。
調べた範囲では、Amazonは過去取引すべて、ビックカメラは2012年以降分が現在閲覧可能なようです。
法人さんの備品購入に活用されているアスクルは、過去5年のデータしか見られないようです。こちらは今のところ、都度ダウンロードして取っておくのが無難かもしれません。
2つ目にインボイス制度の自販機特例。
当初は「自販機は領収書等が出ないので、帳簿に自販機の設置場所を書いておけば仕入税額控除が認められる」という概要のものでした。
こちらが改正により、「住所または所在地の記載を不要とする(※3万円未満の取引に限る)」と変更されました。
帳簿の摘要などに○○市自販機…などと記載がなくても良くなった、という変更です。
インボイス制度の導入に際しては、税理士事務所も対応しきれず廃業したところも多いと聞きます。
今後も動向には留意していきたいところです。