『レモン市場』~レモンとピーチ、どちらがお好き?~
■ レモンとピーチ、どちらがお好きですか?
立春も過ぎ、穏やかな春の訪れを感じる季節になりました。
1月は、新年会など、なにかとお忙しくお過ごしになられたことかと思います。
幼い頃は、新年会で手土産にもらった菓子折りを持って帰ると、喜んで飛びついてきた娘も、年ごろになると「太るから」といって、今ではかえって怒られる始末。
もっぱら最近は、手土産の菓子折りは会社に、自宅にはスーパーに帰り際に立ち寄って買う野菜や果物ばかり。。。
今月は、そんな果物の名前も登場する話題・・・
皆さまは、「レモン」と「ピーチ」、どちらがお好きですか?
(つづく)
立春も過ぎ、穏やかな春の訪れを感じる季節になりました。
1月は、新年会など、なにかとお忙しくお過ごしになられたことかと思います。
幼い頃は、新年会で手土産にもらった菓子折りを持って帰ると、喜んで飛びついてきた娘も、年ごろになると「太るから」といって、今ではかえって怒られる始末。
もっぱら最近は、手土産の菓子折りは会社に、自宅にはスーパーに帰り際に立ち寄って買う野菜や果物ばかり。。。
今月は、そんな果物の名前も登場する話題・・・
皆さまは、「レモン」と「ピーチ」、どちらがお好きですか?
(つづく)
■ 「レモン市場」(lemon market)
1970年、アメリカの経済学者ジョージ・アカロフが、
経済雑誌「クォータリー・ジャーナル・オブ・エコノミクス」で
「The Market for 'Lemons': Quality Uncertainty and the Market Mechanism」
(「レモン」の市場:品質の不確実性と市場メカニズム)
という論文を発表。
中古車市場で購入した中古車は、新車に比べてなぜか故障しやすい・・・のはなぜか
という分析をした興味深い内容です。
かくいう私も、静かすぎる欠陥車?と話題にまでなった、長年乗ってきたプリウスが、ここ数か月の間に
ある日突然、ハイブリッド系統の故障で突然動かなくなり、
はたまた電子キーが電池切れ、あげくの果てにタイヤもパンク。
新車でさえ、様々な故障がありうるのに、いわんや中古車をや・・・そんな感じです。
自身が乗っていた車を下取りに出した経験のある方なら、よくお分かりかと思います。
中古車、そもそも以前のオーナーの車の乗り方、使い方によって、品質自体が大きく変わります。
従前のオーナーから、個人的なつながりで中古車を購入するならともかく、
一般的には、実際に中古車を買って乗ってみないと、その車が良いかどうかは分からないものです。
■ 「情報の非対称性」
なにゆえに、このような現象が起きるのでしょうか。
それは、言わずもがな・・・
中古車の売り手と買い手との間に「情報の非対称性」があるからに他なりません。
売り手は少しくらい品質に問題があっても、そのことには積極的にはふれずに、願わくば少しでも高く売ろうとします。
言ってみれば、買い手が知らないことを良いことに、いかにも優良な中古車であるかのように売りに出すのです。
当然ながら、買い手に比べて売り手のほうが、その中古車に対する情報を熟知している・・・
これが「情報の非対称性」といわれるものです。
■ どうせ不良品だから・・・
その一方で、(たまたま運悪く)質の悪い中古車を買ってしまった(つかまされた)買い手は、
どんな反応をするのでしょうか?
そんな疑心暗鬼にとらわれてしまいます。
もうそうなると、売り手は不良品を、買い手はどうせ不良品だからと・・・
結果的に、質の悪い不良品ばかりが出回ってしまう、という悪循環が連鎖する市場になって、
信用もされず価格も下がり、自ら首を絞めてしまうという現象が「レモン市場」です。
ここまで話を進めるとお気づきの通り、
皮が厚いので、実際にむいて食べるまで味が分からないけれど、
「レモン」は実は酸っぱい不良品の代名詞。
「ピーチ」は甘い良品の代名詞です。
■ 「レモン」の酸っぱさも思い起こして。。。
どんな業界でも、「これくらい、分からないだろう~~」といって、
社員さんが甘く考え、経営者がそれを看過してしまうと、
結果的に「レモン市場」が広がってしまい、業界全体の不利益にもつながりかねない・・・
昨今の廃棄食品転売事件などは、まさしくその典型!
ふと立ち止まって、そんな警鐘と捉えてみることも、大切かと思います。
目に見える物品ならともかく、形としては目に見えないサービス提供なら、なおさらです。
万が一、お客様への納品やサービス提供に少しでも「あれっ?!」と思ったら、
「レモン」の酸っぱさも思い起こして、襟を正していきたいものです。
平成28年(2016年) 2月
山 崎 泰
1970年、アメリカの経済学者ジョージ・アカロフが、
経済雑誌「クォータリー・ジャーナル・オブ・エコノミクス」で
「The Market for 'Lemons': Quality Uncertainty and the Market Mechanism」
(「レモン」の市場:品質の不確実性と市場メカニズム)
という論文を発表。
中古車市場で購入した中古車は、新車に比べてなぜか故障しやすい・・・のはなぜか
という分析をした興味深い内容です。
かくいう私も、静かすぎる欠陥車?と話題にまでなった、長年乗ってきたプリウスが、ここ数か月の間に
ある日突然、ハイブリッド系統の故障で突然動かなくなり、
はたまた電子キーが電池切れ、あげくの果てにタイヤもパンク。
新車でさえ、様々な故障がありうるのに、いわんや中古車をや・・・そんな感じです。
自身が乗っていた車を下取りに出した経験のある方なら、よくお分かりかと思います。
中古車、そもそも以前のオーナーの車の乗り方、使い方によって、品質自体が大きく変わります。
従前のオーナーから、個人的なつながりで中古車を購入するならともかく、
一般的には、実際に中古車を買って乗ってみないと、その車が良いかどうかは分からないものです。
■ 「情報の非対称性」
なにゆえに、このような現象が起きるのでしょうか。
それは、言わずもがな・・・
中古車の売り手と買い手との間に「情報の非対称性」があるからに他なりません。
売り手は少しくらい品質に問題があっても、そのことには積極的にはふれずに、願わくば少しでも高く売ろうとします。
言ってみれば、買い手が知らないことを良いことに、いかにも優良な中古車であるかのように売りに出すのです。
当然ながら、買い手に比べて売り手のほうが、その中古車に対する情報を熟知している・・・
これが「情報の非対称性」といわれるものです。
■ どうせ不良品だから・・・
その一方で、(たまたま運悪く)質の悪い中古車を買ってしまった(つかまされた)買い手は、
どんな反応をするのでしょうか?
やっぱりそうか!
中古車市場を信じた自分が浅はかだった!?
この市場は、どうせ不良品を良品と偽って売っているだけなのでは・・・
そんな疑心暗鬼にとらわれてしまいます。
もうそうなると、売り手は不良品を、買い手はどうせ不良品だからと・・・
結果的に、質の悪い不良品ばかりが出回ってしまう、という悪循環が連鎖する市場になって、
信用もされず価格も下がり、自ら首を絞めてしまうという現象が「レモン市場」です。
ここまで話を進めるとお気づきの通り、
皮が厚いので、実際にむいて食べるまで味が分からないけれど、
「レモン」は実は酸っぱい不良品の代名詞。
「ピーチ」は甘い良品の代名詞です。
■ 「レモン」の酸っぱさも思い起こして。。。
どんな業界でも、「これくらい、分からないだろう~~」といって、
社員さんが甘く考え、経営者がそれを看過してしまうと、
結果的に「レモン市場」が広がってしまい、業界全体の不利益にもつながりかねない・・・
昨今の廃棄食品転売事件などは、まさしくその典型!
ふと立ち止まって、そんな警鐘と捉えてみることも、大切かと思います。
目に見える物品ならともかく、形としては目に見えないサービス提供なら、なおさらです。
万が一、お客様への納品やサービス提供に少しでも「あれっ?!」と思ったら、
「レモン」の酸っぱさも思い起こして、襟を正していきたいものです。
平成28年(2016年) 2月
山 崎 泰