リンゲルマンの『綱引き実験』~社員さんの“チカラ”をどう引き出すか~
■リンゲルマンの『綱引き実験』
リンゲルマンの『綱引き実験』、ご存知の方も多いかと思います。
1913年、ドイツの心理学者・リンゲルマンが行った、『社会的手抜き』を調べるためのユニークな実験です。
1対1で綱引きをすると、人は100%の“チカラ”を発揮。
2対2になると、人は93%の“チカラ”しか発揮しない。
3対3になると、人は85%の“チカラ”しか発揮しないようになり、
8対8になると、なんと49%の“チカラ”しか発揮しないようになった
・・・という実験!!
もちろん、意図的に手を抜いたのではありません。
みんな自分では、“チカラ”を出しているつもりなのです。
しかし悲しいかな・・・集団になると、無意識のうちに、いつの間にか手を抜いてしまうというのが、社会生活を営む人間が陥ってしまう『社会的手抜き』という現象!
(つづく)
本来なら、仕事や作業に携わる社員の人数が多ければ多いほど、
相乗効果で、大きな“チカラ”を発揮してくれるはず・・・
しかし実際には、集団で作業を行う場合など、参加人数が増えれば増えるほど、
一人あたりが発揮する“チカラ”が低下していく。
そんな、個人が集団のなかに埋没していってしまうことを実証したのが
『リンゲルマンの法則』なのです。
『リンゲルマンの法則』には、実際に思い当たる節があるだけに、
思わず大きくナットク!と肯かれている方も少なくないのではないでしょうか。
■リレーでは、『社会的手抜き』は起こらなかった!?
なにかここまで書くと、人間不信というか、少し悲観的な気持ちになりそうですが・・・ 「綱引き実験」には後段があり、
声援を送ってくれる人がいると、個人の“チカラ”発揮は衰えなかった、
という結果も出ているのです。
当時、チアリーダーという表現が正しいかどうかはともかくとして、
チアリーディング的に「〇〇さん、頑張って!」と応援されると、
人はサボらないことも分かりました。
ただし、声援してもらった〇〇さん以外の△△さん、××さんは、
そして、もうひとつユニークな発見。
それは、綱引きでは起こった『社会的手抜き』が、
同じメンバーで試したリレーでは起こらなかった!ということなのです。
■『リンゲルマンの法則』から学ぶこと!
『リンゲルマンの法則』から、学ぶべきことは何でしょうか?
仕事にしても、作業にしても、社員さんに「自分がいなければ!」と、いかに強く意識してもらえるか。
そんな仕組みづくりができるかどうか。
やはりその根底にあるのは、「経営理念」しかり、
何のために働くのか、という意識にほかならないと思うのです。
ひとりで綱引きする限りは、誰も頼ることができません。
「自分が支えなければ」
「自分が必要とされている」
という意識そのものが、社員さんの“チカラ”発揮に、どれだけ大きな影響を与えるかを、
『リンゲルマンの法則』は教えてくれているようです。
例えば、現場での仕事、社内での会議などにおいても、
自分自身で言いたいことがあっても、まあ~自分だけが発言しても、あまり変わらないだろうから。
自分ひとりが頑張っても、あまり変わらないだろうから・・・
「自分が100%の“チカラ”を発揮して綱を引っ張っても、勝敗には影響しないだろうから」
と、まさにダブって映ります。
参加人数が増えれば増えるほど、一人あたりの“チカラ”発揮度が落ちてしまうのです。
その意味では、中小企業、いや個人事業主の出番といえるかもしれません。
小規模なマイクロ・プロフィットセンターを創り上げた、京セラのいわゆる「アメーバ経営」は、
大企業が『リンゲルマンの法則』を検証しながら、自社に取り入れた経営形態だったようにも思えます。
■『最大のチアリーダー』は、経営者自身!
経営者として意識しておきたいのは、チアリーディングの存在です。
社員さんを応援する、声援を送り続けるチアリーダーは、御社にはおられますか?
やはり最大のチアリーダーは、経営者自身なのだと思います。 朝から、現場から、大きな声で、「〇〇さん!」と固有名詞で声援を送り続ける、
頑張ってくれた社員さんに、大きな拍手をし続ける。
そのことを、すでに100年前に、リンゲルマン教授が実証してくれています。
そして最後に、「綱引き型」から「リレー型」へと、
仕事や作業をシフトしていくことも、常に意識しておきたいポイントでしょう。
社員さんという「個」が、会社集団という「マス」に埋没してしまわないように、
運動会のリレーの選手のように、一人ひとりの選手が注目され、
“一人ひとりの力”が見えやすいように“見える化”していく。
そんな観点から、常に業務フローを意識していくことも、意識づけの問題とともに大切なことだと思います。
機会があれば、秋の運動会シーズンにでも、
実際に“綱引き”そして“リレー”に参加して、是非とも体感してみてくださいませ。
2015年(平成27年)7月 山 崎 泰
相乗効果で、大きな“チカラ”を発揮してくれるはず・・・
しかし実際には、集団で作業を行う場合など、参加人数が増えれば増えるほど、
一人あたりが発揮する“チカラ”が低下していく。
そんな、個人が集団のなかに埋没していってしまうことを実証したのが
『リンゲルマンの法則』なのです。
『リンゲルマンの法則』には、実際に思い当たる節があるだけに、
思わず大きくナットク!と肯かれている方も少なくないのではないでしょうか。
■リレーでは、『社会的手抜き』は起こらなかった!?
なにかここまで書くと、人間不信というか、少し悲観的な気持ちになりそうですが・・・ 「綱引き実験」には後段があり、
声援を送ってくれる人がいると、個人の“チカラ”発揮は衰えなかった、
という結果も出ているのです。
当時、チアリーダーという表現が正しいかどうかはともかくとして、
チアリーディング的に「〇〇さん、頑張って!」と応援されると、
人はサボらないことも分かりました。
ただし、声援してもらった〇〇さん以外の△△さん、××さんは、
“チカラ”が落ちたそうですが。。。
そして、もうひとつユニークな発見。
それは、綱引きでは起こった『社会的手抜き』が、
同じメンバーで試したリレーでは起こらなかった!ということなのです。
■『リンゲルマンの法則』から学ぶこと!
『リンゲルマンの法則』から、学ぶべきことは何でしょうか?
仕事にしても、作業にしても、社員さんに「自分がいなければ!」と、いかに強く意識してもらえるか。
そんな仕組みづくりができるかどうか。
やはりその根底にあるのは、「経営理念」しかり、
何のために働くのか、という意識にほかならないと思うのです。
ひとりで綱引きする限りは、誰も頼ることができません。
「自分が支えなければ」
「自分が必要とされている」
という意識そのものが、社員さんの“チカラ”発揮に、どれだけ大きな影響を与えるかを、
『リンゲルマンの法則』は教えてくれているようです。
例えば、現場での仕事、社内での会議などにおいても、
自分自身で言いたいことがあっても、まあ~自分だけが発言しても、あまり変わらないだろうから。
自分ひとりが頑張っても、あまり変わらないだろうから・・・
「自分が100%の“チカラ”を発揮して綱を引っ張っても、勝敗には影響しないだろうから」
と、まさにダブって映ります。
参加人数が増えれば増えるほど、一人あたりの“チカラ”発揮度が落ちてしまうのです。
その意味では、中小企業、いや個人事業主の出番といえるかもしれません。
小規模なマイクロ・プロフィットセンターを創り上げた、京セラのいわゆる「アメーバ経営」は、
大企業が『リンゲルマンの法則』を検証しながら、自社に取り入れた経営形態だったようにも思えます。
■『最大のチアリーダー』は、経営者自身!
経営者として意識しておきたいのは、チアリーディングの存在です。
社員さんを応援する、声援を送り続けるチアリーダーは、御社にはおられますか?
やはり最大のチアリーダーは、経営者自身なのだと思います。 朝から、現場から、大きな声で、「〇〇さん!」と固有名詞で声援を送り続ける、
頑張ってくれた社員さんに、大きな拍手をし続ける。
そのことを、すでに100年前に、リンゲルマン教授が実証してくれています。
そして最後に、「綱引き型」から「リレー型」へと、
仕事や作業をシフトしていくことも、常に意識しておきたいポイントでしょう。
社員さんという「個」が、会社集団という「マス」に埋没してしまわないように、
運動会のリレーの選手のように、一人ひとりの選手が注目され、
“一人ひとりの力”が見えやすいように“見える化”していく。
そんな観点から、常に業務フローを意識していくことも、意識づけの問題とともに大切なことだと思います。
機会があれば、秋の運動会シーズンにでも、
実際に“綱引き”そして“リレー”に参加して、是非とも体感してみてくださいませ。
2015年(平成27年)7月 山 崎 泰