TFSコンサルティンググループ/TFS国際税理士法人 理事長 山崎 泰

『収益性分析』にチャレンジしてみませんか!

14.10.15
税務・会計
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先月号は、「自社の損益分岐点をもう一度しっかりと把握して、会社をもっと強くしよう!」をテーマにしました。
今月号は、さらに会社を強くするための重要なテーマ、『収益性分析』に絞って、ドリルダウンしてみたいと思います。

貸借対照表や損益計算書の数値を使って、会社の体力診断をしていくには、まさに人間ドックが様々な数値から体の診断をしていくように、「収益性」「生産性」[資金性」「安定性」「健全性」「成長性」など、様々な指標から分析をすることができます。まさに会社のビジネス・ドックです!

■ 人間ドックあれば、『会社ドック』あり

 会社の体力診断をする指標

 [ 収益性分析  ・・・ 経営活動は、どの程度の収益を上げているか ] 
 [ 生産性分析  ・・・ ヒト・モノ・カネは、生産性よく成果があがっているか ] 
 [ 資金性分析  ・・・ 投下資本の回収は、効率よくなされているか] 
 [ 安定性分析  ・・・ バランスよく、安定した経営がなされているか ] 
 [ 健全性分析  ・・・ 資金の調達・運用形態は良好か ] 
 [ 成長性分析  ・・・ 業績は、順調に成長しているか ] 


■  『収益性分析』

『収益性分析』とは、まさに会社の収益性、“会社の儲ける力”を分析するものです。

  どのくらいの資本で、いくら利益を上げることができる会社なのか?
  どのくらいの売上で、いくら利益を上げることができる会社なのか?

を、財務指標に基づいて分析していくのです。

 A社も、B社も、利益は200万円で同じだとしても、
A社は総資本1億円、B社は総資本5千万円だとしたら・・・
当然、B社のほうが、少ない資本でより効率よく利益を獲得
=「収益性が高い」ということになるわけです。 


 収益性をみるには、【資本⇔利益を比較する方法】と【売上高⇔利益を比較する方法】と、
大きく2つに分けてみると、よりわかりやすいです。


■ 資本⇔利益を比較する方法



上図①:総資本営業利益率 = 営業利益 / 総資本(×100)%


 「総資本」=「流動資産、固定資産まで含めたすべての資産」=「すべての負債+資本金などの自己資本」

  すなわち、会社が持っているすべての資本です。
  そのすべての資本」を使って、一年間にどこまで本業の利益である「営業利益」を稼ぎ出せたのか!を、
  総資本⇔営業利益の比率で「営業活動の収益性」を見ていくわけです。
 
上図②:総資本経常利益率 = 経常利益 / 総資本(×100)%

 「経常利益」=「営業利益+受取利息などの営業外収益―支払利息などの営業外費用」を加減した利益

  総資本を増やすべく借入すれば支払利息がかかり、受取利息を獲得するにも貸付金という資本を
  使わなければなりません。
  そのすべての資本」を使って、一年間に利息も含めてどのくらいの「経常利益」を稼ぎ出せたのか!を、
  総資本⇔経常利益の比率で「企業活動全体の収益性」を見ていくわけです。 

上図③:自己資本利益率=当期純利益/自己資本(×100)%

  「自己資本」は、資本金+剰余金などで、いわば株主に帰属する資本です。
  「当期純利益」は、株主が配当を受けることもできる、いわば株主に帰属する利益といえます。
  自己資本⇔当期純利益の比率で、「株主の観点からの収益性」を見ていくわけです。


■ 売上高⇔利益を比較する方法

 ① 付加価値率 = 付加価値(売上高―変動費) / 売上高(×100)%

   当社はいったい最大限いくらまで儲けることができるのか(限界利益)!
   付加価値⇔売上高の比率で、会社収益力の強さ、会社の収益構造そのものが、
   かなり顕著に表れる分析です。

 ② 売上高営業利益率 = 営業利益 / 売上高(×100)%

   本来の営業活動により、売上に対してどこまで利益を稼ぎ出せたのか!
   営業利益⇔売上高の比率で、本業の収益性を分析します。

 ③ 売上高経常利益率 = 経常利益 / 売上高(×100)%

   会社全体の事業活動により、売上に対してどこまで利益を稼ぎ出せたのか!
   経常利益⇔売上高の比率で、財務活動等まで含めた、会社としての事業活動全体の収益性を
   分析します。 

 ④ 売上高支払利息率 = 支払利息 / 売上高(×100)%

   会社にとって、支払利息などの金融費用負担がどのくらいなのか! 
   支払利息⇔売上高の比率で、会社の金利負担が適正かどうかを分析します。 


■ もう一歩進んで、分析してみると・・・もっと面白い!

 もう一歩進んで「総資本利益率」を分解してみると、分析がさらに進みます。
 総資本利益率 = 利益 / 総資本 =(売上高/総資本) × (利益/売上高) です。

 分解してみると・・・

 (売上高/総資本)は「総資本回転率」と呼ばれるもので、投下された資本が、
 売上として一年間で何回転したか!を示す指標です。資本の効率的な運用を分析します。
 この数値が高ければ高いほど、総資本が効率的に活用されていると判断できます。 

 利益/売上高は、収益性を示していることは前述しました。
 営業利益であれば「売上高営業利益率」、経常利益であれば「売上高経常利益率」・・・
 この数値が高ければ高いほど、営業活動や事業活動が効率的に行われていると判断できるのです。

 さあ、あなたの会社を強くする!ためにも、収益性分析にチャレンジしてみませんか!