TFSコンサルティンググループ/TFS国際税理士法人 理事長 山崎 泰

松下幸之助翁がひそかに…黒田長政『腹立てずの異見会』

14.09.11
経営全般
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■ 松下幸之助翁の墓参に

 今年は、松下幸之助翁生誕120年、没後25年、松下政経塾創設35周年の節目の年。
 全国から70名を超える政経塾OBが、松下幸之助翁の生誕地・和歌山に集って、松下幸之助翁の墓参・・・
 ひとりひとり、墓前で手を合わせながら、幸之助塾主への想いを誓い合ったひと時でした。

 数日前に目玉女性閣僚として入閣したばかりの高市早苗・総務大臣も関空から駆けつけて墓参。
 女性が活躍できる場づくりに取り組んでいる当社としても、とっても嬉しい出来事です。

 「女性閣僚おめでとうございます!先輩頑張って」
 「有難う。これまだ100枚しか作ってもらっていないの・・・」

と、就任御挨拶と書いた名刺をいただきながら、昔を懐かしく思い出していました。
■ 『素直な心』になるための十か条

 和歌山から京都へ。 
 京都駅前のPHP本社内に設けられた松下資料館。 
 松下幸之助翁が、なにものにもとらわれない「素直な心」を
大切にしていたことは、広く知られるところです。 
 
「素直な心」になるための十か条・・・

 
松下資料館には、「素直な心」を考える自己診断チェックシートまで
ありますので、是非ともお立ち寄りください。


■ 黒田長政『腹立てずの異見会

 松下幸之助翁が、ひそかに参考にしていたといわれるのが、黒田長政『腹立てずの異見会

 戦国時代の武将・黒田長政が主宰して、月に数回開いていた異見会
 参加者は、家老はじめ7人くらいであったといわれています。 

 参加者全員が「何事を言っても決して恨むべからず、腹を立ててもいけない」というのが、異見会のきまり。

 もちろん、ときには黒田長政への批判も。
 そんなとき、長政に怒りの気配が見えると、参加者が
「これはどういうことでございますか。
 怒っておられるように見えます」
と諫言すると、
長政は
「心中に少しの怒りもない」と顔色を和らげる。 

 異見会の継続を遺言に残すほど、
長政にとって大事な場だったのです。 


■ 突然の税務調査・・・『企業は社会の公器』

 松下資料館の遠藤紀夫館長から、あらためて松下幸之助翁の歩んだ道を聞きながら、
「松下幸之助翁が、納税に対して非常に悩んだ時期がありました」
とのくだりに、思わず前のめりに・・・ 

 第一次世界大戦後の反動不況にもかかわらず、松下電気器具製作所は順調に発展。 
 税金の査定期になると、いつも申告通りの納税金額ですむのが常で、
幸之助翁も毎年ありのままに申告。 
 しかし、松下電気器具製作所の売り上げが、毎年あまりにも急増しているので、 
突然ある年に、税務調査を受けることになってしまうのです。 

 幸之助翁は毎年正直に申告しているので、何ら動じることなく調査に臨むものの、
税務当局との見解の相違があり、申告以上に利益が上がっているとの指摘を受けてしまうことに・・・


■ 『自分の金だと思うから、悩みも起きるのだ』

 納税に対する自問自答を繰り返す幸之助翁。 
 二晩ほど眠れぬままに思案しているうちに、 ふと
「自分の金だと思うから、悩みも起きるのだ」と悟るのです。 

 税金に対する開眼です。 

 翌日三日目の調査の時には、
「よく考えて見ると、このお金は全部国家のものです。
 必要なだけ取っていって下さい」と申し出るのです。

 すると、どうでしょう・・・
 税務当局も「そんなにまでしなくても」ということになり、調査も簡単に済んでしまうことに。 


■ 税務調査から生まれた・・・松下哲学『企業は社会の公器』

 幸之助翁は、この出来事から、大きな企業観を体得することになります。 

「企業は社会の公器」

 まさに、松下哲学の真髄となる考え方は、この税務調査から生まれたのです。 

               2014年(平成26年)9月 
                         山  崎   泰